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「……畜生!」

少年は、エリオットの背中を乱暴に突き離した。
エリオットは、慌ててフレイザーの後ろに回り込む。



「すまなかったな。
ところで、このあたりに町はないか?」

「あったら、こんなことするかよ!
あんたら、なんで食料も持たずに旅してるんだ?
今までどうやって食べてきたんだ?」

「え……それはだなぁ…」

エリオットとフレイザーは、顔を見合わせたまま黙りこむ。。



「わかった!
あんたらイラズルにやられたんだな!」

「イラズル…?」

「なんだ、そんな事も忘れちまったのか?
イラズルの吐く息は、神経に障るんだ。
それで、一時的に記憶をなくす奴もいるって聞いたことがある。
だが……なんで、その後、あんたらは食われなかったんだろうな?」

「え、そ、それは…きっと、そいつは腹がいっぱいだったかなんかじゃないのか?」

「そ、そうだね、きっと。」

二人は、話を合わせ、愛想笑いを浮かべる。



「そうか…その時に、荷物を落としたんだな。
あ、わかったぞ!
あんたらはきっと食料をしこたま持ってたんだ。
だから、イラズルはあんたらを食わずに、そっちに気を取られたんだ!」

「そ…そうか〜、そうだったのか。
いや〜、まいった、まいった。」

頭をかきながら、フレイザーはさらに不自然に笑う。



「実は、僕達、記憶がなくて…食料もないし困ってた所なんだ。」

「そうだったのか…
俺も本当はこんなことはしたくなかったんだけど…どうしようもなくてな。」

少年は、そう言って申し訳なさそうに俯いた。



「ねぇ、君、名前は?」

「俺は…ラスター。」

「ラスターか、俺はフレイザー、こっちはエリオットだ。
ラスターは一人で旅をしてるのか?」

「……まぁな。」

「へぇ、俺達と変わらない年なのに、一人旅とはすごいな。」

「馬鹿言うな!
俺はまだ17だぞ!
あんたみたいなおっさんじゃない!」

「あ……」

エリオットはその様子に、下を向いてくすくすと笑う。



「エリオットと同じくらいって言おうと思って、間違ったんだ。
そんなことより、なんだったら俺達と一緒に旅をしないか?
俺達、イラズルの毒にやられてまだ記憶が戻らないし、荷物もなくしちまったから…」

「なんで、俺があんたらの面倒を見なきゃならないんだ!」

「面倒って…そうだ!こいつは魔法使いだぞ。
一緒にいたら、何かと役に立つこともあるかもしれないぞ!」

「呪文は忘れてないのか?」

「うん、それは大丈夫みたい…」

「そうか…魔法は使えるのか…
……よし、わかった!
じゃあ、しばらく一緒に旅することにしよう!」



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