「壊れちまったものは仕方ない…これからは気を付けろよ…」

「僕……」



(僕はなにもしてないのに…)



「……フレイザー、それで…何かわかったのかい?」

「いや、文字がかすれてほとんど読めない…
でも、ここは多分、『宝石』
こっちは『願い』だと思うんだ。」

「わかった!この宝石はもしかしたら神殿に置いてあったもので、これに向かって皆で世界平和を願ってたりしたんじゃない?」

「世界平和ねぇ…でも、それじゃあ五つもあるのはなんかおかしい気がするなぁ…」

「そっか…じゃあ、世界平和は違うか…
ねぇ、フレイザー、もしもこれが願いの石だったとしたら君は何を願う?」

「俺か…?」

そう言うと、フレイザーは青い宝石を手に取った。



「そうだな…俺は大人になりたい!
16なんてガキはいやなんだ。
そうだなぁ…25〜6歳の大人になりたいな!」

「そんなことなら願わなくても…」

笑いながらそう言ったエリオットの目の前で、フレイザーの姿が変わって行く…
身長が伸び、肩幅が広くなり、精悍な顔立ちには不精髭がはえていた…



「う…うそ…!」

「嘘って…どうなってるんだ?
パンツの丈が急に短くなったぞ!あ、袖もだ!」

フレイザーのその声はいつもより低いものだった。



「違うよ、フレイザー!
君の身長が伸びたんだよ!」

「えっ!」

「それに、顔も…」

「俺の顔がどうかなったのか?」

「……大人の顔だよ。」

「あ……!!」

不意に軽い音がして、フレイザーの手の中の青い宝石が粉々に崩れた。



「フレイザー!やっぱりこれは願いの叶う宝石なんだ!」

「ま…まさか…そんなのアニメや小説の話だ。
おまえ、いつもゲームばっかりやってるから、そんなこと思うんだ!」

「嘘じゃないって!現に君のその姿…」

「きゅ、急に身長が伸びることくらい…ある!
成長期なんだからな!」



(こいつ、どこまで意地っ張りなんだ…)



「じゃあ、フレイザー、もう一度何か願ってみなよ!」

「えっと…それじゃあ…」

「宝石を持たなきゃ…!」

エリオットは、フレイザーに黄色い宝石を手渡した。


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