「ダルシャ、これからどうするつもりなんだ?」

「そうだなぁ…
実を言うと私はジャーマシーには来たこともないし、全くわからんのだよ。
まぁ、いつものように適当に旅をしながら情報を集め、後はセリナに任せるしかないだろうな。」

ジャーマシーに着いた一行は、港町の宿屋でのんびりと寛いでいた。
ラスターの船酔いがおさまるまで数日はこの町に落ちつき、それから出発する事に決まった。



「とりあえず、情報収集を兼ねて酒場でも行くか?」

「いや、俺達はちょっと勉強があるから…」

「あぁ…そうだったな。
……では、私一人で行って来る。
ジャック、よろしく頼んだぞ。」

立ち上がったダルシャに向かって、ジャックは少しはにかみながら俯き加減に頷いた。



「……エリオットは?」

「ラスターの看病をするって言ってたぞ。
いつもセリナに任せとくのも悪いからって。」

「……看病ったって、ラスターは寝てるんだろ?
皆、優しいんだな。」

「……仲間だからな……」

ぽつりと呟いたフレイザーの横顔を、ジャックはじっとみつめる。



(仲間……)



不意に顔を向けたフレイザーと視線の合ったジャックは、慌てて目を伏せた。

「……ジャック、どうかしたのか?」

「い、いや、なんでもない。
そ、そういえば、ダルシャはなんで一緒に旅をしてるんだ?
彼には何の問題もなさそうだけど…」

その言葉に、フレイザーはおかしそうに笑う。



「……だよな。
傍から見れば確かにそう見えるよな。
だけど……ダルシャには大きな問題があるんだ。
ま、それも身から出た錆び…とも言えるんだけどな…」

「何なんだよ!?」

「ま、それは本人から聞けよ。
俺の口からはとても言えない。」

フレイザーは何かを思い出してるかのように肩を震わせてしのび笑いを続け、ジャックは、その原因を推測することも出来ず、ただフレイザーの笑いがおさまるのを待つしかなかった。


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