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「お、叔母様!
ダルシャとは、旅先でたまたま知り合ったんだけど、僕達が願い石を探してる事情を話したら、じゃあ、手伝ってやろうって言ってくれて…
ほら、僕達、誰も強くないし、魔物が出て来たりしたらすっごく困るんだよね。
そんなことを察して、ダルシャがついてきてくれることになったんだ、ね、フレイザー!」
「えっ!?
あ…あぁ、そうなんだ!
ダルシャのおかげで、俺達どんなに助かってることか、なぁ、セリナ!」
「そ、そうなんです!
助かってます!」
どこか不自然に三人は早口でまくしたて、ダルシャは精一杯の愛想笑いを浮かべていた。
「そう…それは良い心がけだわ。
でも、あの兄さんがよくあなたを旅になんか出してくれたわね。」
「年を取れば、誰だって丸くなりますよ。
……余計な話かもしれませんが、叔母様さえよろしければぜひうちに遊びに行って下さい。
今の父なら、あなたを追い返すような真似はしないと思います。」
「そうかしらね…」
ぽつりとそう呟くリュシーの顔に暗い影が差した。
「ダルシャのお父様とリュシー叔母様の間になにかあったんですか?」
「……たいしたことじゃないわ。
それよりも、願い石は魔物の森にあるの?」
「はっきりとはいえませんが、セリナがここから北に願い石の存在を感じるって言うんです。
叔母様は、願い石の噂を聞いたことはありませんか?」
「このあたりには屋敷も少ないし、私には仲良くしてる方もいませんからね。
……あ、そうだわ……もしかしたら、ダグラスさんなら何かご存知かもしれないわ。」
「叔母様、その方は?」
「さっき、フレイザーさんが飲んだお薬を作った方よ。」
「その方は、どこに住んでらっしゃるのですか?」
「ダグラスさんが住んでいるのは、魔物の森よ。」
「な、なんですって!?」
目を丸くするダルシャを見て、リュシーはおかしそうに笑った。
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