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戦闘開始を知らせる鐘の音と共に、野獣の咆哮のような雄叫びをあげ、ターナーが大きな剣を頭上高くに振りかざしながらリカールをめがけて突進していく。
あんな太い腕からあんなに大きな剣を振り下ろされたら、どこに当たっても相当な衝撃を受けると思われる。
その光景に、客席からは女性達の甲高い悲鳴が飛び交う。

ターナーの剣が振り下ろされた瞬間、リカールの身体が素早い動きで剣を避けた。
風のように身を翻し、一瞬でターナーの後ろに回り込んだかと思うと、リカールの剣がターナーの篭手を強く叩いた。
振り返ったターナーの顔は怒りに震え、熟したトマトのように真っ赤になっている。
先程よりも大きな叫び声を上げながら、めちゃめちゃに剣を振りまわしてリカールの方へ向かっていく。
その度にリカールは左に右にと身体を交わし、時にはターナーの重い剣を自分の剣で受け止めた。
剣と剣がぶつかった瞬間、会場にガツッという鈍い音が響き、リカールの筋肉に青い筋が浮き上がる。
彼の軽やかな動きのためについ錯覚してしまうが、リカールは力も相当に強い。
そうでなければ、あの巨体で渾身の力をこめて振り下ろされた剣を受け止めることなどとてもじゃないが出来るはずがない。
リカールは、それを受け止めるだけではなく弾き返すのだから、相当な腕力の持ち主であることは間違いない。
だからこそ、ずっと連勝して来ているのだ。

二人の戦いが長引くに連れ、観客も会場も熱さを増していった。
戦う二人の全身からは滝のような汗が流れていたが、声援を送る観客やその観客を制ししながら柵を支える私達も汗にまみれていた。
ステージ上の二人だけではなく、そこにいる皆が真剣で自分なりに精一杯のことをやっている。
私の目の前にいた女性などは、喉から血が出そうなほどの声援をリカールに送っていた。
手を振りまわし、飛びはね、涙を流してリカールを応援しているのだ。
まさに観客もが真剣勝負をしているのだ。


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