003 : 障害と剣1
離れの中には生活に必要なものがすべて整っていた。
部屋数もちょうど四つあったので、各々部屋を決め、やっと荷物を降ろすことが出来た。
「マルタン、ちょっと良いか?」
「あぁ、どうぞ。」
「この部屋は、俺の部屋より見晴らしが良いな。
俺、こっちにすれは良かったかな。」
「なんなら代わろうか?」
「いや、冗談だ。
そんなことより、ここへ来た途端、仕事は決まる、住む所まで用意してもらえるなんて、今回はえらくツイてたな!」
「そうだな。
雨にあってなければまっすぐに宿に向かっただろうし、あの雨が幸いしたのかもしれないな。」
「なるほど…いわれてみりゃあそうだな。
宿にいるうちに司会者も決まっちまったかもしれないもんな。
酷い目にあったと思ってたことが、実は良かったんだな。」
「そういうことだな。
司会だったら、給料もけっこうもらえるかもしれないぞ。」
「そうだと良いがな。
また近いうちにそういうこともきっちり決めないといけないな。
そりゃあそうと、町の様子見がてら、食料の買い出しでも行くか?」
「そうだな。」
私とリュックが買い出しにでかけ、クロワとクロードはその間、部屋の掃除をすることになった。
町の商店街は何軒もの店が建ち並び、人通りも多かった。
食料品から雑貨まで、ほとんどのものがここでは手に入れることが出来そうだ。
「ずいぶんと賑やかな町なんだな。
この分なら、闘技場にも人がいっぱい来そうだな。
あ、あそこに闘技会の張り紙があるぞ!」
リュックが塀に貼られた貼り紙を見つけた。
「なになに。
格闘技の大会が週に二度、演芸が週に二度、武器を持っての大会が月に一度か…
じゃあ、俺達、仕事のない日もあるってわけだな。
遊んでるのももったいないし、その間にどこか働ける場所を見つけた方が良いかも知れないな。」
「出し物は曜日毎に決まってるんだろうか?
空いた日だけの仕事となると、探すのは難しそうだな。」
「帰ったら爺さんに聞いてみなくちゃな。」
仕事が始まってはそうそう買い物にも来られないかもしれないと考え、日保ちの利くものを中心に私達はいっぱいの食料を買いこみ、屋敷へ戻った。
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