藍の羅宇がひび割れた。仕事を終えての、一日の楽しみである一服の最中にだ。今日はとりわけ疲れていただけに、苛立ちがいや増した。しかも、こういう時に限って煙管屋は通りかからないのだ。一昨日ならばこの時刻に来ていたというのに。近ごろは調子がいいからと、団子を渡して帰してしまった。きざみ煙草はまだ量があるが、煙管の予備などどこにもない。この手の中の、乾いた音をたてて割れてしまったこいつしか。
 持ち帰った仕事が残っているが、今日はもう寝てしまおうか。どうにも興が削がれてしまった。明日は少し早めに起床すればよい。どうせ量はないのだから。そうと決まれば、床の用意を急いでもらおう。風呂は烏の行水で良いだろう。それから、きっと明日来るだろう煙管屋への言付けもしておかなければならない。寝床に就く前に、吸い口と火皿の汚れも落としておこう。
 ああ、ただ羅宇が割れただけだのに。やる事が増えてしまったじゃあないか。




     ひとしごと








煙管良いですよねって話

2011/11/16
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