辞書を返しに行くと、仁王先輩と丸井先輩が取っ組み合っていた。いつもの光景なので、さっさと退却するべく気配を消して歩いた。目指せ仁王先輩の机。
道中二人の会話が聞こえてきた。

「甘いポップコーンなんぞ邪道じゃ!」
「バカ言え!あの甘ったるいのがいいんじゃねーか!」
「そんなやからブンちゃんは太るんじゃ」
「んだとコラもっぺん言ってみろ」

どうやらポップコーンの味で言い争っているらしい。大方丸井先輩が「甘い方が美味しいよな」とか言い出したのを、仁王先輩が喧嘩腰に反論したんだろう。俺が言うのもなんだが、くっだらねえ……。
辞書は返した。礼は部活の時に言えばいい。先輩らに巻き込まれたくはないから、挨拶もそこそこに俺は自然と早足に……

「待てよ赤也」
「お前さんの意見も聞きたいのう」

右から左から掴まれた肩が重い。ああ嫌だ振り返りたくねえ。抵抗も虚しく無情なチャイムが鳴り響いた。これほど教室に戻りたいと思うのは、後にも先にもこの時だけだろう。



カレー味派と言わせろ








オウフ

2011/9/27
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