愛想がなくて冷めている。
人のことを見下している。
調子にのってる。
――それが他人から見た、俺という人間。
いつだって最初は皆、人の良さげな笑顔で近づいてくる。けれどたいてい関係は長続きせず、皆、離れていった。
同級生たちからは散々陰口を叩かれ、教師からは「おまえには協調性がない」と面談や通知表で指摘されてきた。
たしかに愛想はないし協調性も欠けているんだろうけど、すべてになにも感じないわけじゃないし、たいした時間を過ごしてもいないやつらに知ったような口を利かれたくなんかない。
(でも、抵抗したところで意味なんかあるのだろうか?)
いつのまにか耳を塞ぐことが得意になっていた。
イヤホンを耳にはめて、音楽プレーヤーを再生させる。何度も聴いたエレキギターソロのイントロが鼓膜をふるわせる瞬間、すべてどうだってよくなる。
目をとじて、次にあけた瞬間なにかが変わっていたらいいのにと、そんな馬鹿げた夢想を思い描きながら、ずっと聴こえないふりをしてきた。
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