「ねぇ、蔵さー」
「なんや?」
「蔵ノ介って名前、すごい字数だよね」
部活終わりの日誌記入。マネ業の1日の締めくくりだ。実際に日誌にその名前を書きながら言うと、蔵はわざわざ机の向こうから回り込んで覗き込んできた。んー、着替え途中な姿がまたえくすたしー。
「まぁ、せやな。フルネームで……30画やな」
「うっわ、めんどくさ!めっちゃ不利じゃん!」
「不利てなんやねん、不利て」
「あーたとえばテストのときとかさー、名前で時間とられるとかアホらしーじゃん」
「やったら他の奴らはどうなん?ごっつ早そうなん」
「んーとねー……」
遠山金太郎
「5文字か、金ちゃんも長いな」
「でもこの前見たテスト、金ちゃんひらがなで書いてたよ」
「え、これ全部小学校で習う漢字やん。毒手やな」
「ひっ……!!!」
「や、自分嘘やってわかっとるやん。……え、わかっとるやんな!?」
「あ、短そうなのみっけ」
財前光
「いや、案外画数あるんちゃうん」
「3文字の割りにごみごみしてんね」
「3文字……師範の名前とかどや?」
石田銀
「くっ、ダメだ。名前に画数がとられている」
「これもアカンか〜……あとは、」
千歳千里
「なんで"千"て2回も入ってんの」
「3画で楽そうやん」
「"歳"で打ち消されてるけどね」
「なんやごっつ遠そうな名前やなぁ」
「てかまず千歳テスト出たことないよね」
金色小春
「なんか平均的だね」
「平均的やな」
「なんかファンタジックだね」
「そんなん言うたらあかん」
忍足謙也
「あーダメダメ。3文字目でギブ」
「でも謙也いつもテストの時名前かくん早いで」
「そりゃやっぱ浪速のスピードスター☆だからじゃないの?」
「言うと思たわ」
「言わせたんじゃん」
「あ、てかおったわ、いっちゃん短い奴!」
「え、誰だれ?」
「忘れとったわ……」
一氏ユウジ
「あ、いたいたこんなやつ」
「ひどいで、自分」
「や、だって名前カタカナってさ、うん、斬新だよね」
「ヒトウジっちゅー苗字も珍しいよな」
「とりあえず一番短いのは一氏ってことで」
「うわ、もうこんな時間か!」
「蔵、いつまではだけてんの」
「エクスタシーやろ」
「変態なだけだよ」
ガチャ
「あ、やっぱ2人ともまだおったわぁ〜」
「小春ぅ〜、はよかえるでぇ〜」
「はよ帰りますよ。しゃーないすわ」
「浪速のスピードスターのが上っちゅー話や」
「色即是空」
「ワイ!ゴンタクレ!」
「みんな自己主張必死だね」
「やないと誰がしゃべっとるんかわからんからなエクスタシー」
「や、アンタはもういいから」
「ほな、帰りまひょか」
そんなとある部活終わりの一コマ。
(なんや今日の日誌はレギュラーの名前しか書かれてないんか)
(お、オサムちゃん…俺の名前がないんやけど…)
(1こけしやるから元気だしぃや、小石川健次郎副部長)
(何気にコイツが一番長い)
ヤマ無しオチ無し。
完。
とある日の授業中にふと思ったことです。ノートになんとなく"白石蔵ノ介"と書いて、コイツ絶対テストの時苦労するよね。とか思って思い出した順にみんなの名前書いてって。最後に思い出したのが一氏。書いた瞬間、あ、コイツだよ。みたいなね。ちなみにそのときは小石川のことは完全に忘れてました。←
あと最後の自己主張台詞集。分かる人は分かったかと思いますが。はい、あれです。某歌劇の某校歌からです(笑)(10/06/25)
sakuyo [ dr cp home ]