今日はQクラスのみんなで課外授業。七海先生から尾行について習う日。朝の10時に集合がかかっている。

「いってきまーすっ!!!」

「あっ!お兄ちゃん、お弁当!」

私の声も聞かずにお兄ちゃんは玄関から飛び出していった。もう、しょうがないなぁ。心の中で呟きつつも、顔には笑みが広がる。

だって、あの人に会えるのだから…――



最初に会ったのは、ずっと前にお兄ちゃんが団探偵育成学園の入園試験を受けに行ったとき。帰りのフェリーから降りたお兄ちゃんを迎えにいったときに、初めて会って、一目惚れをした。その後もことあるごとにお兄ちゃんに色々と話を聞いたりして、いろいろわかった。

名前は天草流くん。お兄ちゃんたちにはリュウって呼ばれてる。性格はとても冷静でクール。趣味は読書をすることで、読んでる本は難しすぎてお兄ちゃんには理解不能だったらしい。頭が良くてQクラスでも随一の推理力を誇っている。

お兄ちゃんは友達だって言ってたけど、今まで聞いた話じゃああんまり相手にされていないような気がする。

あ、集合場所が見えてきた。どうやらもうすでに授業が始まっているらしい。先生1人が前で立って喋っていて、生徒5人は草むらに座って熱心に聞いている。

「これは『追跡マーカー』といってなぁ…――」

前に立って話しているおじさんが話しに聞く、七海先生、かな。一番左の眼鏡とニット帽の男の子はパソコンが得意な数馬くんだろう。その隣にいる人は、年が一番上だから、喧嘩が強いキンタさんだっけ。真ん中に座っているのはクラスで唯一の女の子だから、メグちゃんだ。その隣はもう言うまでもなく、キュウお兄ちゃん。
そして、右端に座っているのが、紛れも無い、リュウくん……。うわぁ、久しぶりに見るなぁ……なんかまたかっこよくなってる……!

しばらく見惚れていたが、気付けば授業はもう終わっていた。

「あーっ!!!お弁当忘れたーっ!!!」

お兄ちゃんの叫びが向こうから響いてくる。そんな大声出さなくても……あぁほら、案の定メグちゃんに怒られてる。
いつ出てこうかなぁ。後ろから行って驚かせちゃおっか!そんなことを考えながら歩き出そうとした時だった。

「もしかして君、名ちゃん?」

え?と思って振り返れば、そこに立っていたのは予想外の人物。
リュ、リュ、リュウくんっ……!!?いつの間に後ろに、ってなんか言わなきゃ!!!

「はいっ!そ、そうです!」

「そのお弁当、キュウの?」

「は、はい!」

「そんなに緊張しなくてもいいよ。あと敬語もいいから」

「は、い。あ、いえ……う、うん」

とりあえずあっち行く?という言葉でみんなの元へ行く。あーあ、もう少し2人で話したかったなぁ、なんて。残念に思っていると、不意にリュウくんが近付いてきて一言。


今度2人で会わない?


その後の私は始終顔が真っ赤でろくに話が出来ませんでした、とさ。




めぼれ
(募る恋心は)(溶かされるのでしょうか)

end.



THANKS 5000HIT !!!
>> 誰かの妹・イトコのリュウ夢


:: おまけ

「あれ?キュウ、その写真に写ってるのって……」

「妹!名って言うんだ!」

「やっぱり!可愛くなったねぇ!今度バイト誘ってい?」

「バイトって……まさかメイド喫茶!!?無理、無理、無理…!!!」

「あれ、キュウ。妹なんていたんだ」

「数馬だって見たでしょ?入園試験の時の」

「あぁ、あの子……」

「どれ、写真見せてみろよ」

「あ、キンタ取らないでよっ」

「へぇ、可愛いじゃん」

「でしょ!自慢の妹なんだ!」

「し・す・こ・ん!あ、リュウも見る?」

「ちょ、メグー」

「別に」

「そんなこと言わずにー、ほらっ!」

「………!!!キュウ、写真貸して」

「え、ど、どうぞ……(何で!?)」

「……(この子はあの時の……)はい」

「あ、うん。それよりも、うちの妹がどうかした?」

「……別に」

「そ、そう……?」


お互い一目惚れだったなんて、運命みたい。


ちゃんちゃん。


* * *



凛緒様、い、いかがでしょうか……?
一応キュウの妹設定です。キュウはなんとなくちょっとシスコンしてそうなイメージです(笑)
お気に召していただけたら幸いです…!5000HITありがとうございました!


07/08/24 初版
10/12/12 改稿 ゆん