「お待たせしました!遅くなっちゃってごめんなさい!」
「いいよいいよー 俺も今来たとこなんだ〜。出掛け際に副長と沖田隊長に絡まれちゃって」
「あ、僕も出掛け際に銀さんに、どこ行くんだ〜ってしつこく絡まれた挙げ句、遅れちゃいました…」
「同じだね」
「はい」

俺たちはクスクスと笑い合っていつものように、肩を並べて歩き出した。
向かう先は、これまたいつもの喫茶店、

俺たちはこうやって頻繁に二人で出掛けているのだけれど、毎回真選組から抜け出す時に、副長と沖田隊長に絡まれる。
それは俺と新八君がお茶に行くことを知っているからで、お二人は毎回毎回飽きもせず、俺が新八君と逢うのを阻止しようとしてくるんだ。
本気のお二人に俺なんかが敵う訳がないから、毎回、密偵らしく、お二人の知らない隠し通路を使って逃げるんだけど、
あの飽き性の沖田隊長までもがどうしていつも俺を止めようとするのかというと、そう、皆さんのお察しの通り、彼も新八君を好きだからである。副長もしかり、
よく俺も毎回、恐ろしい、鬼の副長とサディスト王子を敵に回してまでしてがんばってるよね。
自分で自分を誉めるのは気が進まないけど、今日改めて思った。
それくらい、新八君への愛が強いってことかな、、、?
…ずっと一方通行だけど、
まあそんなこんなでいつも遅刻しそうになちゃうから、早めに出るんだけど、今日は遅刻してしまって本気で焦った。
新八君も待ち合わせの場所に居ないし、待ちくたびれて帰っちゃったのかと思って死にそうになってたもん、、!
その件では今日は旦那、新八君に絡んでくれてありがとうございました!

「新八君、最近、万事屋の仕事入ってる?」
「はい、相変わらず少ないですけどね。大体が人捜しとか、ペット捜しとかで、捜してばっかですが、」
「あはは、それはもう万事屋というより捜し屋だよね」
「ですよね、万事屋やめて捜し屋にした方が依頼が来る気がします」

こうやって新八君とお喋り出来てるのがすげー幸せー!
笑った新八君マジで天使だ!傷付いた心も一瞬で癒されるよ〜!副長と沖田隊長からの尋問も忘れられる、

「それで、銀さんに、山崎さんに逢いに行きます。って言ったら――」
「うんうん」
「、真選組のパトカーだ」
「えっ」

大きな窓ガラスから外を見つめた新八君が言うのを訊いて、思わず視線の先を振り返った。
そこには確かにうちのパトカーが。
しかも、中から出て来たのは副長と沖田隊長、、!
やっと逢えたのに、邪魔される?
邪魔されてたまるか!

「新八君、逃げよう!」
「はい?うわ、山崎さん!?」
「来て!」

気付いたらお勘定をテーブルの上に置き、新八君の手を取って走り出していた。
新八君は当然戸惑ってはいたけれど、路地裏をすごいスピードで走る俺に引きずられるようになりながらも文句も言わずに付いて来てくれた。



二人分の乱れた呼吸音が夕暮れ時の路地裏に、橙色と共に染み込んでいく。
一体どのくらいの時間走っていたんだろうか?
よくここまで走り続けることが出来たものだと、自分でも感心してしまった。
久しぶりに視線を新八君へ戻すと、大きく肩を上下しながら、汗で貼り付いた前髪を人差し指でゆっくりと左右に掻き分けていた。
その姿が妙に色っぽくて、不覚にも、ずくん、と腰が重くなるのを感じ、不謹慎だと、なんとか自分に言い訊かせた。

「ごめんね、急にこんなに走らせちゃって…」
「いい、ん ですよ…なんとなく、走ってる間、楽しかったですし。土方さん達 から逃げなきゃいけない、理由もあったんでしょ、、?」

そこまでいうと、新八君は、はぁーと、大きく息を吐いた。
閉じられていた眼と、再び視線が交わる。
俺はおもう。新八君のどこが好きかと訊かれたら、迷わずにすべてと答えるだろうな、と。
でも、一番はこの、真っ直ぐに、真正面からなんの迷いも恐れもなく、馬鹿正直に物事を見つめることの出来る、瞳なんじゃないか、と。
その瞳と視線が混ざり合うことで、いつも俺は新八君をまた一つ好きになり、自分以外の誰の手にも渡したくない、と強くおもうのだ。
どうすれば副長や沖田隊長、その他もろもろの新八君へ好意を寄せている人達から、さっきみたいに逃げずに、堂々と新八君の隣に居れるのか考えたけど、やっぱりその答えは一つしかなかった。

「ねえ新八君」
「何ですか?」
「好きだよ、」

―――、勢いってすげー!
日頃から言おう言おうと思って言えなかった言葉が今日は勢いがついてたから普通に言えちゃった、、、
これで新八君が赤くなるなり微笑んでくれるなりすれば俺は、もう…!

「、、、ありがとうございます、僕も山崎さんがすきです!――〜ッ、うわ、面と向かって言うと照れますね」

え、よ…よ、よっしゃぁあああっ!!!
ねえ訊いた?!新八君も俺のこと好きなんだって!!やばい!!思い切って告白してよかった〜っ!
これで新八君は俺のものだから、堂々と副長たちの前でイチャつける!
山崎退、今まで辛いことだらけだったけど生きててよかったです!!

「じゃ、じゃあせっかくだし、」
「?」

新八君の肩に手をかける。新八君は可愛いぱっちりお目目で俺をじっと見つめている。この雰囲気、確実にちゅーのやつじゃん!?

「あ、今日はなんだか山崎さんが土方さん達に追われてたみたいで、こんな感じになっちゃいましたが、たまにはこういうのもいいですね。僕、やっぱり山崎さんと友達になれてよかったです」
「…………」

え、友…達?
あれ、幻聴かな、今新八君の口から友達って単語が出た気がするんだけど、

「あの…友達…?」
「はい!僕の一番の友達は山崎さんですっ」
「お、れ、、、〜〜〜〜っ、、!俺も一番は新八君だよ!」
「えっ本当ですか?!う、嬉しいです」

確かに新八君は微笑んで可愛らしく頬を赤く染めてるけど、意味が違げーよ!!どんだけ鈍感なの新八君ンンンンッ!!?
そういうところも好きなんだけどね!!
俺…一人でぬか喜びしてたわ…恥ずかしっ
で、でも、意味は違ってても、新八君の一番になれてよかった、よな、?
これからまたゆっくりと時間を掛けて、新八君が俺のことを好きになってくれるように頑張ろう!
、、、その前に、俺が副長たちに殺されなきゃいいけど。

「あれっ、や、山崎さん泣いてるんですか?」
「う、新八君が一番って言ってくれたのが嬉しくてね」
「山崎さん…そんなに…」

本当の理由は当分言えそうにない。




20110906


書いた日からこっちにあげるのに時間掛かっちゃいました!

山→新大好き!
山崎が黒ければ尚好きです。笑

山新もっと増やしたいです

20110926 あとがき


 
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -