「ではまたな。きり丸」
「利吉さんもう帰っちゃ うんですか?」

やめてくれ。寂しそうな顔で見上げられると、たまらなく愛しく思ってしまうじゃないか、

私だってあと少しでもいいからお前と共に居たい。
出来ることならば、ずっと側に。

しかしそれが叶わないのは何時ものことで、

「きり丸」

私はきり丸を引き寄せてその唇にキスをした。
突然のことに固まった小さな身体を直ぐに離してやれば、今にも泣き出しそうな、真っ赤な顔に出逢った。

「―ッ利吉さんのばかっ !もっと…もっと一緒 に居たくなっちゃうじ ゃないですかぁ…っ」
「はは、すまない」

柔らかな藍色の髪を撫でてやれば、切な気に眉を細めたきり丸に胸が傷んだ。

それは私も同じなんだ。
けれど今は、逢えない時を埋める為の私の勝手を許してくれ、きり丸。

「また次期に逢えるさ。 その時はもっと一緒に 居よう」
「わかりました…絶対っ すよ?」

悪戯っぽく笑ったきり丸に、相変わらず無理をさせていると悔やんだ。

次に逢うときも、私はまた、別れのキスをするのだろう。




20110116









 
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