今日、土井先生が敵の城へ調査に行った。
帰りはいつになるかわからないらしい。
こんな日は、いつもきりちゃんはずっとそわそわして落ち着かない。

「きりちゃん、」
「な…っなんだ?乱太郎」
「土井先生が心配なんでしょう」

その顔、わかりやすいなあ。

「図星?」
「…だって土井先生 一人で行っちゃったから…」
「だけど、土井先生は忍術学園の先生になれる程のすごい忍者だよ?心配しなくても大丈夫だとおもう」

出来るだけきりちゃんを安心させてあげたい。
けど、土井先生を持ち上げるのはあんまり気が進まないかな。
だって土井先生はきりちゃんにこんなに心配させてる。
あのきりちゃんに、こんなに心配してもらえるなんて 正直妬けちゃうっていうのもあるんだけど。

「うん…そうなんだけどさー」

そんな暗い顔しないの。

「そんなに心配してたら本当になっちゃうよ?」
「!!」
「だから、ね?心配するより、土井先生を信じてあげようよ。そっちの方が先生も嬉しいとおもう」
「、そうだよな… ありがとう乱太郎!」

戻って来た花開くようなかわいらしい笑顔。
私はきりちゃんのそのかわいい笑顔に微笑み返した。


今日もまた、何かに抉られたように胸が痛む。

土井先生が居なくなればいいと、何度願った事か。

私だったらきりちゃんに哀しい顔させたり、こんなに心配かけたり、不安にさせたり絶対にしないのに、

でも土井先生が居なくなれば、きっときりちゃんは笑わなくなる。

だから崩せない。
…崩せないよ、

私の幸せはいつだって、きりちゃんの笑顔と幸せの中にあるんだから。

崩せないもの

きりちゃんの笑顔と――






20101217