最近、あの人の近くに居ると悲しくなる。心臓がきゅっと掴まれたような、息苦しい感覚。段々と下がっていく眉。仕舞いには、涙で目の前がぼやけて見えて。泣き叫んでしまう前に、いつもボクはあの人から逃げている。どうして、どうして?汗をかいたふりをして、そっと涙を拭ったのは何回目だろう。
「ドラゴンキッド殿、最近不調でござるな。どうしたでござる?」
「何でも無いよ!じゃ、じゃあね!」
昼も夜も、ボクは彼から逃げている。こんなに悲しくなる理由なんて、今はまだ欠片も分からない。
識別。
、エ、ラーが、はっせい、しまし、た。
ボクは察していたのかもしれない。自覚もしていないその想いは、報われる事は無いのだと。
title by 揺らぎ
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