「空が高いね」
「スカイハイさんだね」
そう言って二人は笑い合った。何でもない、ただ二人並んで歩いているだけのこの時間は、ゆっくりゆっくりと流れていく。一緒に見上げている空に浮かぶ、あの白い雲のように。
「ねぇイワン」
「どうしたのパオリン」
繋いでいる手の力が強くなった。しかし顔は合わせずに、二人は会話をする。恥ずかしいからではないだろう。きっと、分かるのだ。顔を合わせずとも、お互いの表情や、感情が。
「ボク、今、すごく幸せだと思う」
「うん。僕も今、すごく幸せだと思う」
青い空の下、
ふたりで
初めて合わさった視線の先には、微笑む恋人の姿。嗚呼やはり、幸せなのだ。お互いが居ればそれだけで。
title by 揺らぎ
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