16:65
緩んだネクタイ。血塗れのシャツと泥塗れの革靴。呻き声を聴きながら、冷たい銃口を額に当てて囁く。嘘つきはだあれ。にっこりと笑った顔。
遊び


10:62
天井の隅で、蜘蛛が巣を張る。糸を引く。絡まった羽虫が声無き悲鳴を上げた。ギチリと蜘蛛は糸を引く。哀れな複眼と目が合う、日常。
食事


08:67
文字を書き綴る。がりがり。数行で手が止まる。無機質な時計の針が鳴る。かちかち。爪を噛む。増える深爪。がりがり。時計が呆れて息をついた。



07:63
幼い息子が、畳の上をくるくる歩いて回る。手には凧糸、その先には少し大きめのヨーヨー。にへらと顔を崩して、かわいいね、と笑った。
ペット


06:61
見知らぬ駅を通り過ぎたとき、不意に帰るという言葉が浮かんだ。夕焼けの街が見える。規則的な振動が、母の胎内を思い起こさせた。
電車


05:69
手を泥だらけにしながら、子供は穴を埋めていた。唇は固く噛み締められて。小山になるまで土を積んで、頂きに枝を刺してようやくほろと泣いたのだ。
学ぶ


04:67
死んだら火葬にしてもらおう。強く吹いた風が木々を揺らし、微かに潮と灰の香りがした。渡り鳥がひとつ鳴く。そうして未だ見ない海へと行くのだ。



03:67
鏡の前で絵筆を片手に仁王立ち。紅を差した唇、二重に矯正した瞼。ファンデーションを手に取って、さよならワタシ。今日から生まれ直します。
卒業


02:64
溢した。テーブルクロスがみるみる赤くなる。グラスが落ちて割れる音がする。雫が頬を流れ落ちる。震えるくちびるが微かに言葉を紡いだ。



01:62
店内は薄暗く、氷の揺れる音だけが響いた。彼の言葉など分かりきっている。グラスについた水滴が滑り落ちるのを、私はただ見ていた。
告白


00:00
エンドロール管理人、シャーペンと申します。ぼんやり頑張ります。
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お名前とサイト名、またよろしければ何か一言


文章修行家さんに40の短文描写のお題
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