繋いだ手



よくわからないけど、世界は後2時間ほどで終わるらしい。
地球に隕石がぶつかる
なんて、映画や小説ではよくある話が実際に起こるとは思わなかった。
理由とか原因なんて、調べればすぐわかるけど、なんの意味もないだろ?


死ぬ直前に何がしたいか
俺は何も考えず、池袋に行った。
迷いはなかった。
俺にとって、池袋は特別だったから。
そしてやっぱり、そこにはシズちゃんがいた。


「いーざーやくん?池袋には来んなって何回言えばわかるんだ?あ゛ぁ?!」

こんな日だというのに、シズちゃんは何も変わらなかった。
むしろいつもより元気?


「ねぇシズちゃん。今日、世界は終わるんだよ?
何もこんな日に俺を追い掛けなくてもよくない?」
「関係ねぇな!てめぇが池袋にいるのが気にくわねぇんだよ!
それが例え最後の日でもなぁ!」


いつもと変わらない光景。
昨日も、一週間前も、一ヶ月前も繰り返した。
…でも、きっと最後だ。


ここで俺は唐突に理解した。


あぁ俺はここで死ぬんだ。
ここで生きて、ここで死ぬ。
それが俺の人生だった。
シズちゃんと睨み合って、追い掛けられて、いつも通りにいられたのが、しあわせだと思った。


俺は怖かったのかもしれない。
突然、どうしようもない終わりを突き付けられて、全てが変わってしまって。
でもシズちゃんは何も変わらない。
俺とシズちゃんの関係は何も変わらないんだ。


だから最後は、やっぱりシズちゃんがいい。


「俺は隕石なんかに殺されない。

俺を殺すのは君だろ?シズちゃん」

「ああ」


どうか最後の時まで、
俺を離さないで



あれ?自分でもよくわからない話に…
スタートから間違った。
いつもどおり一緒にいられるのが、1番しあわせだってこと。