週末の夜のかぶき町は、たくさんの人でごった返している。仕事帰りの詩乃は、酔っ払いの格好の的となっていた。少しでも早く帰宅したいという思いとは裏腹に、腕を掴んでまで引き留めようとする酔っ払いに絡まれてしまった詩乃は立ち往生を余儀なくされてしまった。

「やめないか、貴様ら」

 詩乃の腕を掴んでいた酔っ払いの手首を捻り上げたのは、桂小太郎だった。襲いかかる酔っ払い達を一瞬にして戦闘不能に陥らせた桂は、詩乃の手を取りながら振り向きもせずに歩き出した。

「あ、あのっ……」
「何だ」
「ありがとうございました」
「ああ。気を付けるんだぞ」

 艷やかな髪をなびかせながら振り向いた桂の色香に危うく惑わされかけた詩乃は、雑念を振り払うかのように勢い良く頭を下げた。とても強く、とても麗しい桂の姿は、詩乃の記憶にいつまでも残っていた。





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