インターハイ初日──湘北高校に敗北を喫した豊玉高校のバスケ部主将・南烈は、南龍生堂のカウンターで頬杖をつきながら物思いに耽っていた。来客を知らせる単調なメロディと共に姿を現した詩乃は、唇を尖らせながら南を見下ろした。

「何や、その顔」
「烈の真似に決まっとるやろ」
「肖像権侵害で出るとこ出てもええねんぞ」
「カリメロの著作権侵害しとる烈に言われたないわ」

 減らず口を叩く詩乃に舌打ちした南は、苛立ちを隠し切れない様子で溜め息をつきながら顔を背けた。

「なあ、烈」
「あ?」
「広島行こ」
「は?もう行く理由ないやろ」
「ある」
「ない」
「ある。ナガレカワに謝らな」
「お前に指図される筋合いないわ」
「烈の気持ちを代弁しとるだけや。店の前で待ってるから」

 おもむろに立ち上がった詩乃は、景気づけに南の肩を軽く叩きながら歩き出した。流川に怪我を負わせた瞬間の感覚を思い出し、複雑な表情を浮かべる南。俯き加減で店から出てくる南に対し、詩乃は朗らかな笑みを浮かべながら隣を歩き出した。





back/Top

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -