昼休み。大勢の生徒達が行き交う廊下で野崎の後ろ姿を発見した佐倉千代は、脇目も振らずに走り出した。委員会の臨時会議へ向かう堀と詩乃は、猛スピードですれ違っていった佐倉の背中を暖かい眼差しで見送った。

「今のって、堀と仲良い子だよね?」
「ああ」
「あの子の足元から、愛でできた道が一直線に延びてたね」
「そんな恥ずかしい事、よく堂々と言えるな」
「そう?素直に嬉しいよね、あんな風に想ってくれる相手がいたとしたら」
「意外と福富の足元にも延びてるかもな、誰かからの愛でできた道とやらが」
「マジで?誰から誰から?」
「言えるわけねーだろ」
「いいじゃん、教えてよ。減るわけじゃあるまいし」
「……俺だよ」

 赤面しながら歩き出す堀を、詩乃は慌てて追いかけた。

「ほんとに?」
「ああ」
「堀が私を?」
「ああ」
「ちなみに、どの辺が好きなの?」
「脚」
「脚ぃ?そっか、脚か……素直に喜べないわ、それ」
「お前が訊いてきたんだろうが」
「まあね。でも、よかった。ずっと一方通行だと思ってた」
「一方通行って、まさかお前……」
「……そういうこと」

 照れくさそうな笑みを浮かべた詩乃は、肩を寄せながらぎこちなく堀の手を握り締めた。独自の嗅覚で告白劇の匂いを嗅ぎつけた野崎と、大好きな彼との探偵ごっこに興奮を隠せずにいる佐倉は、手を繋ぎながら歩いていく堀と詩乃の後ろ姿を暖かい眼差しで見送った。





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