数カ月前からスナックお登勢で働き始めた奏は、坂田に家賃の支払いを催促する事が日課となっていた。いつの間にか恋人同士となっていたものの、彼氏相手でも容赦なく家賃を徴収する奏。午前中に訪れても二度寝しているか二日酔いで潰れている事が多く、かと言って夜は夜で飲みに出歩いており不在の場合が多いため、出勤前の昼から夕方にかけてタイミングを見計らいつつ訪問するしかない。いつものように玄関のチャイムを鳴らした奏は、慣れた様子で万事屋に上がった。

「お邪魔しまーす。銀時さーん」

 万事屋の台所に常備してあるマイカップにいちご牛乳を注いだ奏は、それを飲みながら居室へと歩みを進めた。ソファの上で横たわる坂田は、ジャンプを枕代わりにいびきをかいている。坂田の頭の下からジャンプを引き抜いた奏は、目を白黒させながら飛び起きる彼を呆れたような眼差しで見下ろした。

「おそよう。家賃回収のお時間です」
「胸糞悪ィ寝覚めだな。せっかく良い夢見てたっつーのによ」
「どんな夢?」
「奏のおっぱい揉んでる夢」
「夢の中でもセクハラか」

 ソファに座り直した坂田は、ちょうど目線と同じ高さにある奏の胸に手を伸ばしながら何やら考え込んでいる。嫌がれば坂田を喜ばせてしまう事を熟知している奏は、胸を触られても身じろぎ一つしなかった。

「夢の中のがでかかったな」
「ふーん、そう。くたばれ変態」
「お前も道連れにしてやるよ。人のいちご牛乳、勝手に飲みやがって」
「いちご牛乳買うお金あるなら家賃払いなよ」
「よーし、わかった。そこまで言うなら身体で払ってやらァ」

 力任せに奏の腕を引き寄せた坂田は、バランスを崩した彼女を押し倒しながら不敵な笑みを浮かべた。坂田の唇が耳を這った瞬間、奏は頬を紅潮させながらも理性を保った。

「払うなら、お登勢さんに……」
「今その名前出すな」

 低い声でそう囁いた坂田は、奏の胸に手を這わせながら耳たぶを甘噛みした。耳元で聞こえる坂田の息遣いが奏の理性を惑わせ、淫靡な世界へと誘っていった。










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