アンケート2013 | ナノ

 Choise, on your way from me(後篇)

* * *

「ごめん、優しく出来ない…もう…俺は、俺じゃない……!」

泣きたいのか笑いたいのかもうわからなかった。
頭ん中も心ん中もぐっちゃぐちゃで、
ただひたすらに名を欲していることだけが現実だった。

旨そうな赤い唇に突っ込んだ親指で、熱い舌をぐっと押さえつけると、彼女は苦しそうに呻いた。
その表情がたまらなくて、次はどんなことをしようかとわくわくしている自分に気付く。

「名……ずっと…ずっと好きだったんだ…」
「やら…っ…やめ……よす…け…」
「ずっと隣に居たのに、気付かなかったお前も悪いよな」
「なっ…んっ…」
「そんなにあいつが好き?愛しいお姫様がピンチないま、駆けつけてもくれないようなあいつが?あいつもトンだ王子様だよな」
「……!」
「全てが完璧。全てが優秀。なんであいつみたいな男が存在すんのか理解できねぇわ。ああいう奴のせいで、俺みたいな中途半端な男に行き場がなくなるし、中途半端な立ち位置にいるしかねぇってわかんねーの?まじやってらんねー」

心の底からどんどん想いが溢れだす。
泣きたかった。みっともないこと口走ってる自覚はあるけど抑えきれない。

―もう、俺は俺じゃない。

名は涙をにじませながら、俺の腕を両手で掴んで押し戻そうとする。
ああ、ダメ、その顔、すごいそそられる。

その手でさ、腕じゃなくてココ掴んでくれねぇ?
どうしようもなく疼くそこが、
彼女を求めてどんどん硬くなっていくのを感じる。

彼女の口に手を突っこんだまま、もう一方の手を頬に添え、ぐっと背を伸ばして倒れ込む。
「んっ…!」
彼女は背を強く床に打ちつけただろう。

でもそんなの関係ない。
俺の抱えた痛みに比べたらそんなの、なんともないだろ?

彼女の口から親指を抜いてやると、そこまとわりついた唾液がぽたりと零れ落ちた。
完全に押し倒す形になり、彼女に馬乗りになる。
「エロい顔……そういう表情で、いつもシてんの?」

あいつとさ…!

「陽介…やだ……やめて…」
「俺の願いを叶えてくれたらやめてやるよ」
「……っ………」
「ただし俺の願いは、お前を犯すことだけどな…!はははは!!」
「っ!?」

目の前にある、ずっと触れたかった2つの膨らみに手を伸ばして、ぐっと潰すと、
名の表情が歪む。喉の奥で引っかかったような声を上げて、赤い舌を覗かせる。
ずっと想像の中だけでさんざん蹂躙してきたその柔らかい感触に興奮が加速する。

笑いが止まらない。

「陽介……っ!いい加減に…!」
へぇ…まだ諦めないの。いい度胸。
足をばたつかせ、両手で俺の手を掴んで自分の身体から引き剥がそうとしている。

「そんなに暴れないでよ」
「やめてっ…!」

彼女の胸から手を離し、俺の腕を払おうとする両手を強く握り、床へと押し付ける。
そして彼女の耳元へ唇を寄せる。

「そんなに暴れちゃだめだよ……興奮するだろ?」
「なっ…!」
「そういうのもいいけど、早くお前のこと感じたいからこうする、な」
「えっ……やっ…!」
彼女の制服の胸元のリボンを素早く解いて、両手首を結び、彼女の頭上へと押し上げる。
抵抗できなくなり、まるで生贄のように晒された身体に反応してしまう。
俺のためだけに開かれる身体。

たまんねぇ。

結ばれた手首を片手で押さえつけたまま、
顔と顔を近づける。
「どうして…こんな……」
自由を奪われ、抵抗する術を失った名は不安の色を濃くする。
対する俺は笑いをこらえるのが大変だ。
こんなに幸せな瞬間は二度と来ないかもしれない。
ずっと焦がれていた女を好きにできるなんて、さ。

「この世界はいずれ霧に包まれる。お前は事件のことも、友達のことも、堂島さんや菜々子ちゃんのことも、ちゃんと見つめている気でいたかもしれない。でも、人の本当の心なんて…実際は誰にもわからないんだ……俺の気持ちに、気付かなかっただろう?」
「それは……」
「罪な女………罪を償ってよ…俺に、その身体をチョーダイ?」
「……っ……」

心までとは、言わないから…。

赤い唇に自分のそれを重ねる。
湿度でしっとりと濡れたそこはなめらかでぷるぷる。
適度な弾力と感触で俺を歓迎してくれる。
2,3度優しく啄ばんだあと、ぐっと押し付けて、舌を突っ込む。
声にならない声が名のノドから漏れたけど、気にしなかった。
舌を見つけて、追いかける。
苦しいのか、名は何度も小さく声を上げた。
熱い舌と舌が絡み合っては離れて、ぶつかっては追いかける。

まるでお前への恋心みたい。
手を伸ばせば離れて行く。無邪気なお前に罪の意識はないだろうけど、
すり抜けていく感情に、何度打ちのめされたことか。

「んっ…ふ…ぁ……」
「んんっ……っ……っ…」

唇を密着させたまま、彼女の胸に手を伸ばす。
さっきみたいに服の上からじゃなくて、今度はウエスト部分から制服の中に手を入れ、
ついでにブラをずりあげて、マシュマロみたいなそこに直接触れる。
その感触を楽しむように手を動かすと、びくん、と彼女の身体が揺れた。

「あれ?ここ、もう硬くなってんじゃね?」
「っ……」
「へぇ…無理矢理されるの好きなの?」
「違う!」
「じゃあ、どして?」
「きゃっ…!」

思いがけず手のひらに触れた、マシュマロみたいなそこに似合わない、硬く立ち上がった突起。
ぎゅっと摘まむと、名はぎゅうっと目を瞑って小さく声を上げた。

かわいい…

もっと反応が見たくて、
人差し指と中指でその突起を挟み込んだまま、ふわふわのそこをぐちゃぐちゃに揉みしだく。

「もう、やめて…陽介…こんなこと…!」
「ん?どーすんの?リーダーに言うの?」
「!?」
「『ずっと私のこと好きだったって陽介が暴走して、ヤられちゃった』って報告すんの?」
「そ、そんな言い方って…!!」
「あ、まだヤられちゃってないか。…じゃあ、既成事実つくろうぜ?」
「やっ…ぁ!!!」

ぐっと胸を鷲掴んでから、今度は既に身体を滑り込ませているしなやかな足に触れる。
脛から膝、太ももと指先だけで優しく刺激してから、スカートの中へと手を進める。

「なんか熱いね、スカートの中。もしかして湿ってる?」
「……っ」
「言わなくていいよ。確かめてやる」
器用に下着を指に掛けずり下ろし、指を押し進めると、そこは驚くくらいに。

「へぇ…濡れてる」
「っ……」
「こんなぬるぬるじゃ、上手く刺激してあげられないわ…っと、こことか?」
「あっ…!!」
ぷくりと膨らんでいる突起を押しつぶすも、ぬるぬると指が滑ってうまく触れない。
それでもなんとか探って、刺激を与えてやると、ゆらゆらと名の腰が揺れる。

「ここ、好き?」
「…………」
「あいつにもここ、こうされてんの?それとも、舐めてもらったりしてんの?」
「っ……」
「あいつ、上手そうだもんな。…頼むからさ……今日は比べないでくれよ?俺だけを…感じて」
「ひぁ…ぁっ……」

再びぐりぐりと刺激すると、名の頬を水が伝う。
涙なのか汗なのかはわからない。
ただその紅潮した頬と潤む瞳が扇情的で、これ以上我慢できなかった。

「1回イッとく?」
膨らんだそこを刺激する速度を速める。押しつぶしながら時折引っかくようにしてやると、
泣きそうな顔で名が喘ぐ。
チョーいい顔。

「ぁ…やっ…やだっ、やめっ……んっ……くっ……あっ……あああっ…ん」
つま先をぴんと伸ばして、足を浮かせながら、背をしならせて、名は意識を飛ばす。
溢れる体液が俺の手をしとどに濡らした。

我慢できずに甘く漏れる声がどうしようもなくエロくて、頭がおかしくなっちゃいそう。
普段の凛としたお前からは想像できない、甲高くて、耳を嬲るような声。

「はぁ……名……好き…だ…」
うわごとのように呟く。
イッたばかりの名は虚ろな目でぼんやりと天井を見つめている。
身体からはぐったりと力が抜けていて、呼吸を繰り返す、胸元だけが大きく動いていた。

1度そこから手を離し、足を改めて開かせる。
自分の着ているものを脱ぐと、待ちきれないとばかりに、熱く立ち上がった俺がびくんと跳ねあがった。

「あんなに熱くてとろとろのお前の中に入れたら、すっげー気持ちいいんだろうな」
「……や……」
「想像するだけでおかしくなりそう……ってもう俺、おかしくなってるわ」
「よ…すけ……」
「お前が泣いてるとこもっと見たい……見せて?」

彼女の腰を少し持ち上げ、熟れたそこに自身をあてがう。
そのときだった。

“ヨー………か……マ!?”

「?」
何か聞こえてくる。

“ヨースケ!……るクマか!?……スケ!!”

「く…クマ……?」
「…………」

“おおっ!繋がったクマ!!!!ヨースケ!名チャン!大丈夫クマか!?いままで全然居場所がわからなくて心配してたクマよ!!”

「へ、へぇ……ありがとな」
「悠……」

彼女の口から洩れるあいつの名前。
小さく舌打ちをした。
せっかくいいとこだったのに。

「ってことは……俺たちがどこにいるかわかんのか?」
“わかるクマよ!まったく…入口からずっと遠いところにいるクマね!方向音痴ってヤツクマか!?”

「へぇ…なぁ、名。迎えに来て貰う?」
「……!?」
立ち上がった自身を目の前に晒しながら、名の顔を意地悪く見つめてやる。
自由の効かない腕では、俺を押しのけることもできない。

“もし救援部隊が必要なら、今からセンセイたちに向かってもらうクマ!準備は万端クマよ!”

いまもしリーダーたちが来たら…?

「お前と励んでるとこ、見られちゃうかもな?」
「や……やだ……」
「じゃあ俺と一緒にいてくれるんだ?」
「…………」

名は少し逡巡してから静かに瞼を伏せる。それは肯定の合図だった。
伏せた瞳から零れる涙。
それを唇を掬い取ってから、俺は頭上を仰ぐ。

「俺たちは大丈夫だから!心配すんなー!」
いつもの声色作ってな。

“ホントクマか?そんなに遠いところから帰ってこられるクマ?”

「だいじょうぶ!俺は方向音痴だけど、名はちゃんとしてるだろ?さっきは途中でシャドウに襲われてさ、逃げてるうちに奥まで来ちまったみたいだ」

“そうクマか……クマがヨースケたちの位置を把握したから、いつでも連絡とれるようになったクマ。もうアンシン!何かあったらすぐ言うクマよ!”

「りょーかいっ!サンキュー!クマ!また後でな!」

ってことはだ。

「俺たちの声もあっちに丸聞こえってやつじゃね?」
名の耳元で囁く。彼女はびくりと震える。

「頑張れよ?声、我慢すんの」
「っ……!?」

改めて、刺激を待ち侘びるそこに俺を宛がう。
ぐっと、身体を押し進めると、滞ることなく、一気にナカに入ることができた。
「っあー…!きもちいっ……俺たち、相性バッチリじゃね?」
「ひっ……くっ……ぅ……」
「あ、そっか。声出せないんだっけ!ははは!!」

ぴったりと身体が密着すると、俺は彼女の奥深くまで到達していた。

「見ろよ、全部入っ…たっ」
「んっ……っ……」
「お前のナカ、俺の食いちぎりそ…っ…ぁ…そんな…締め付けんな…」
「やぁっ……ぁ…」
感じたことのない刺激に、すぐイッちまいそうだった。

「なぁ、好きでもない男にこうされんの、どういう…気持ち?」
「やめて…今すぐ……」
押し殺した声。表情で懸命に訴えかけてくる。
「俺は、すっげー気持ちイイよ……たとえ心は離れようが、お前のナカのあいつの記憶を上書きできてるんだからな…んっ……ぁ…はぁ…」
「きゃっ……ぁ……」
ゆらゆらと腰を動かすと、彼女は唇を噛みしめる。
気持ち良くなってくれてる証拠。
そうしないと、声出ちゃうんでしょ?

「可愛い……名……好きだっ……好きなんだっ……!!!」

お前が我慢したところで、どうにもならないことだってある。
忘れかけてた黒い感情に支配された俺は、もう俺じゃない、って言ったろ?

金色に輝く瞳がその証拠。

俺は、陽介の、影。

―『可愛い……名……好きだっ……好きなんだっ……!!!』

ほーら。聞こえてきた。
シャドウならこんなことだってできるんだぜ?
いま、マヨナカテレビで中継されてるのは、カンジじゃなくてこっち。
完全に覚醒している俺の方。陽介を乗っ取った影の俺。
俺がいまは陽介、これからも陽介だ。

んで、この声は、入口に居るリーダーやクマたちにもしっかり聞こえているはずで。

「ど、どういうことなの!?」
―『ど、どういうことなの!? 』

自分の声がこだますることに驚いた名は驚愕の表情をしている。

「俺の力ってとこかな。まぁ、難しいことは考えないでさ。気持ちイイことだけしようぜ?ほら…っ」
ぐっと腰を打ちつける、受け止める細い腰が大きく揺れる。

―『俺の力ってとこかな。まぁ、難しいことは考えないでさ。気持ちイイことだけしようぜ?ほら…っ』
少し遅れて響く俺の声。

「やぁっ…んっ……!」
―『やぁっ…んっ……!』
彼女はハッとして口を噤んだ。

“ヨ、ヨースケ!?どういうことクマ!?名チャン!?”

「ああ、クマ。わりぃな。俺たち、いまお楽しみ中ってとこ」

“名!?陽介!?どういうことだ…!”
聞こえてくるリーダーの声。珍しく焦ってる。ああ、こういうのも気持ちいーね。
その声に答えず、目の前の獲物を蹂躙することに集中することにする。

「皆に聴いて貰おうぜ?俺たちのイイ声……」
「っ……!」
「ぁっ……ぁ……はぁ……」
「…!っ……ぅ……!」
リズムよく腰を打ちつける。
必死で唇を噛みしめる名の身体がリズムに合わせて揺れる。

汗でべとべとになった身体なんて全然気にならない。
ただお前とひとつになった部分だけがどろどろに溶けそうで熱くて甘くて幸せでたまんない。

細い腰を両手でしっかりと掴んで逃がさぬよう、奥の更に奥をえぐるように、
打ちつける。

名の声が聞こえないことは残念だったが、それ以外の反応は可愛くて可愛くて。
怯えたような瞳とか、歪む眉、噛みしめた唇、揺れる胸、小さく揺れる両手のリボン。
それらは俺の目を存分に楽しませてくれた。

「あっ……も……イく……あっ……くっ…!」
「やっ……っ…!!!」

全てを彼女のナカに注ぎ込む。
我慢して押さえつけてた感情も、たまりにたまった俺の欲望も、全部。
ナカで弾けた白い熱は、収まりきらず、少し身体を離すと、外に溢れ出した。
そのままずるりと自身を抜くと、白い体液がぽたぽたと零れ落ちる。

「ああ…きもち、いい…死んじゃいそ……」
「…………」

睨みつけてくる視線が刺さる。
でもそれよりも、自分の跡を、彼女に残せた幸せの方が上だった。
満ち足りた幸福感が身体中を支配していく。

同時にイッたのか、動かない名の身体。
乱れた髪を見ているだけで、また自分が熱を帯びてくる。

遠くで歓声のようなものが聞こえる。
テレビの外から見ている奴らのざわめき。

誰かに見られてるって思うとますます興奮する。
俺がいま、主役だ。

「…足りない……もっと…もっとみんなに見てもらおうぜ?」
「ひゃ……ぁ…」

幸せな倦怠感に満たされた身体をゆっくりと動かして、
彼女の身体をうつぶせにする。
その隙に名は逃げようと、縛られた両手を床に押し付け、そこを支えに身体を起こそうと試みる。

四つん這い。いい眺め。

すかさず背後から覆いかぶさって、その希望を断ってやる。
うなじに唇を押し当てぺろりと舐めると、彼女が肩を震わせた。
「だめだよ逃げちゃ。もいっかいしようぜ?」
「離して…!!」

―『だめだよ逃げちゃ。もいっかいしようぜ?』
―『離して…!!』

少し遅れて俺たちの声がこだまする。
名のまぁるい目が濡れて行く。

「俺の、また熱くて、痛くなっちゃった。お前のナカに入りたいって聴かないんだ」

だからさ。

四つん這いになったお前のスカートを捲りあげ、ぐちゃぐちゃになった下着をそのままに、
真っ赤になった快楽の園へ指を突き立てる。

「うっ…ぁ…!!」

ぎゅうぎゅうと指に絡んで締めつけてくるそこ。

「なんだよ、名もまだシたいんじゃん」
「ちがっ……」

イッたばかりだから刺激が強すぎるのか、声を我慢するので精一杯のようだ。
見えない表情を想像してぞくぞくする。
指を引き抜き、腰を更に高く上げさせ、まぁるくて白いそこに手を這わせる。

「2ラウンドってやつ、イキますか!……っ…」
自身を宛がい、えぐるように突き立てると、彼女の背がしなやかにのけぞる。
その両肩を掴み、身体をぐっと一気に押し進める。
さっき以上にカンタンに入る。ふぅっと息を吐くと余裕ができて、彼女のナカをより感じた。
目の前に晒された白い首筋に汗が滲んでいる。舌を這わせると、またびくんと身体が震えた。

「ああ…だめだ……気持ち良すぎてさっきみたいに長くできなそう…っ…」
腰を揺らしながら、耳を舐め上げる。
「ふぁ……ぁ…」

“ヨースケ!何が起きているクマ!?ヨースケ!”
「ああ、もう…粋じゃねーなぁ…。少し黙っててくれよ。いまいいとこなんだからさー」

“陽介!名!”
「あ、リーダー」
「!!」

名の身体が面白いくらいにぴたりと止まる。
理性を失っていない証拠だ。
なんか面白くなくて、またナカを抉ってやる。

「んっ…!」
いやいやと首を振る。
彼らまで聞こえるようにわざと大きな声を上げる。

「ねぇ、どう?感じる?気持ちイイ?」
―『ねぇ、どう?感じる?気持ちイイ?』

耳元で囁く言葉が、ほんの少し遅れたタイミングで建物の中に響いている。

むせかえるほどの熱気が溢れる大きい浴室で、
場所に倣ったようにこだまする声。

俺の目に映るのは、乱れた髪と白い首筋、絶望的な彼女の表情。
彼女を一定のリズムで揺らし、それに合わせて流れ落ちる汗は、頬を顎を伝い、彼女の背へと零れ落ちる。

「…はは……ははははははは!!!!」
快楽を押さえこむように首を振る彼女が可愛くて、自然と漏れる笑い声。
狂気を含んだそれはまたほんの少し遅れて建物の中に響き渡った。

小さい耳に唇を寄せて、囁く。
「なぁ…これからも傍にいてくれる?」
「っ……」
「……この願いを叶えてくれるなら、このことはリーダーに秘密にしてやる」
「な…っ」
「たまにこうして俺を受け入れてくれるなら、秘密にしてやる……いやだろ?ここまで築き上げてきたメンバーの絆をぐちゃぐちゃにするの、さ。…事件究明は振り出しだろうな」
「………そんな……」
「要はお前がどっちの帰り道を選ぶか、だ…。全てを明らかにしてここまで築いてきた絆をぶっ壊して、事件は迷宮入り。それか…」

全てを心に閉まって、
今まで通りの生活をする。

カンタンだろ?

で、たまに俺を受け入れてくれればいいんだ。
気持ちイイことしかしないよ、俺は。

なぁ、どうする?

“陽介!名!返事をしてくれ!!”

「なぁ、どうする?」
「………っ………」

彼女の肩が小さく震え、小さく天井を仰ぐ。
そして震える唇をそっと開いた。赤く染まった頬に涙が伝う。
「クマ……悠……大丈夫。大丈夫だから…。もう少ししたら……ちゃんと、戻るから……」
そう言って、名は床に突っ伏した。

「はい。よくできました」
頭に手を伸ばし、いい子いい子、と撫でてやる。

いい子にはご褒美をあげないとね。
今まで以上に強く、強く腰を打ちつける。
小さく漏れる声は彼女の身体で遮られて外に漏れてくることはない。

どんどん熱くなっていく結合部と、
どろどろになって行く心。
気がつけば、霧はまたどんどん濃くなっていく。

全て、この霧の中に取り込まれて、消えてしまえばいい。

「好きだよ…名……大好きなんだ……だから…」


こうすることも、
許して。


な?


2014.5.1


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