アンケート2013 | ナノ

 「距離感ゼロのパラフィリア」

「〜♪」

俺は上機嫌だった。
約4カ月前から始まったドラマの撮影は今日クランクアップ。

アイドルとしてステージに立ったり音楽番組に出たりする傍ら、
移動時間や食事の時間、ときには睡眠時間を削ってまで台本と睨めっこ。

こんなに出番の多いドラマは初めてだったからすげー大変だったけど、
なんとか無事に乗り切ることができた。

俺の役がオールアップしたとき、
現場の人たちはでっかい花束とあたたかい拍手をくれた。
めちゃくちゃ大変だったし、怒られたし、NGいっぱいだして凹んだ日もあったけど、
皆とことん付き合ってくれた。

あんなに豪華な花を貰ったのも初めてだった。
それだけドラマ内で重要な役だった。

「ま、クラスを牛耳る腹黒優等生役だけどねー」

成績優秀、
でも人を食ったような態度をとる黒髪に金のメッシュな問題児”カンザキ”。
この役がきたときに、京也さんに「そのままじゃん」って言われたっけ。
偶然にも役名と俺の名字も被ってたし。

あれから半年。
今日、全て終わった。
勿論、いい想い出ばかりじゃない。
例えば、あいつになかなか会えない日が続いたのは辛かった。

「んーっ……」

思い切り伸びをする。
車の揺れが心地よくて寝ちゃいそう。

「あいつも、ドラマ毎週楽しみにしてるって言ってたっけな……」

これから会う相手。

「名」

会うのはホントに久しぶり。眠くなってなんかいらんない。
身体はくたくただったけど、心は浮ついてしょうがなかった。
それに今日は面白い土産を持っている。

「早く、会いたいな……」

不意に零れ落ちた言葉は車の音にかき消される。
乗ってるタクシーはもう見慣れた場所に差し掛かっていた。



『透さんっ!』

インターホンを鳴らすとすぐに声が聞こえた。
今か今かと待っていてくれたのかと思うと悪い気はしない。

バタバタと音がして凄い勢いでドアが開く。
そこから覗いたのは少し頬を紅潮させた名のはにかんだ笑顔。

「おかえりなさい!」
「っ……」

久々に会うときってどんな顔していいかわからないよな。
嬉しいんだけど、嬉しさ全部顔に出すとちょっとバカみたいかなとか、
恥ずかしいかな、とか思ったり。

俺、いまそんな顔。
だからちょっとそっけなくご挨拶。

「ちわ。入っていい?」
「もちろん!」
「ん。お邪魔しまーす」
「どうぞ!」

名は俺が入りやすいようにドアを更に開けて、中へと促す。
俺はそれに従って後ろ手にドアを閉めた。

彼女の背を追って、リビングへ。
久々に会ったけど特に変わった様子はない。
元気な様子にとりあえずほっとする。

そりゃー電話はするけどさ、やっぱ違うじゃん。
彼女が目の前にいる事実に浮ついていた心に更に拍車が掛かって、
変に緊張までしてるみたいだった。

ヘンだな、俺。

久々にきたパステルカラーに溢れた部屋はいつもと同じように、
彼女のお気に入りの香りに満ちていた。

「……なぁ」

俺はソファに腰掛けることなく、
お湯を沸かす為にポットに水を注でいる彼女に声を掛ける。

「うん?お腹すいた?」
「飯は食ってきた。違う。へへっ、実は透サマからのありがたーいお土産、コレ」
俺はそう言って持っていた少し大きめの袋を掲げる。
ビニール袋の中には更に紙袋が入っている。外から中身はわからない。
「お土産?!やったぁ!何だろう……」
彼女がポットを一旦テーブルへと置き、俺の方へと駆け寄る。
受け取った袋の中を覗き込もうとして、それを言葉で制した。

「待て」
「え?」
「それ洋服なんだ。まだ開けないで、着替えて俺にみせてよ。お前が着てるとこ見たい」
「えっ……お洋服?珍しいね、透さんがお土産に服だなんて」
「まーね。お前に似合うと思ってさ」
「ホント!?嬉しいなぁ!」

名は本当に嬉しそうに笑った。
ちょっと騙してるみたいで悪い気がしたけど、“似合う”と思ったのは本当だから嘘は吐いていない。

「じゃー……洗面所で着替えてくるね?」
「着替え終わるまで、出てくるなよ」
「?」
「いーから。いってらっしゃい♪」
俺も笑顔を作る。雑誌に載ってる俺みたいに可愛い小悪魔の表情。
これをすると、名といえども強くは反論できないことを知っている。

こういう技もたまには役に立つな。

俺の態度を訝しく思いながらも素直に袋を手にした彼女は脱衣所へと消えていった。
そして数分後に聞こえた小さな悲鳴に、俺は笑みを隠せなかった。



「やっぱり似合うじゃん♪」
「〜〜〜!!!」

思った通りその洋服は彼女によく似合った。
洋服、というよりは衣装なんだけど。

スパーン!!!!と音がしそうなほどの勢いで開いたドア。
脱衣所から出てきた名は涙目で、それだけでドキドキした。

足の先から頭のてっぺんまで視線を動かして、
「へぇ……」と知らぬ間に声を出していた。

『こんなの着られないよ!!』
『着替えるまで出てくるの禁止』

とドアの前で押し問答した結果、
根負けした彼女はついに袖に腕を通してくれたのだった。

「はー……やっぱイイ♪」

大きな襟が特徴のその服はほぼ濃紺。
胸元のリボンだけが鮮やかな赤色をしていた。
適度な幅のプリーツスカートは、彼女の動きに合わせて軽やかに揺れて俺を誘う。

名は、俺がいた現場の誰よりも可愛かった。

「セーラー服なんて着たの初めて…」

セーラー服。それは、ドラマで使われた衣装。
ご丁寧に靴下まで一緒に入っていたようだ。
白い足、つま先から膝までを覆い隠す濃紺。

今まで見たことのない名の姿だった。

「もぉ!こんなお土産……!この衣装、あのドラマのだよね?貰ってきちゃったの!?」
「もう使わない予備の衣装なんだって。校章がいまのとちょっと違うの。必要になったら人がいっぱいいるシーンで使えるかなって取っておいたんだけど使わなかったみたい」
「だからって……!」
「まあまあ」

顔を赤くしてまくしたてる彼女を制して、俺も上着を脱ぐ。
その下は撮影で着ていた制服、そのままだった。

「なっ……!透さんも…?」
「へへっ、ドラマのまんま。生の“カンザキ様”はどう?」
ドラマの中で俺の役”カンザキ”には熱狂的な信者がいて、
そいつらに”カンザキ様”って呼ばれている設定になっていた。

だからいま道端で声を掛けられるときには“カンザキ様”って呼ばれることも少なくない。
ま、悪い気はしないけど。

「う、うん……似合ってる……けど……」
不機嫌だった名の表情が少し和らぐ。
俺はその言葉に笑顔を見せた。
「だろ?でもお前の方が似合ってる、シンセン」
「……ありがと」
「あーあ。お前と一緒に学校行ってみたかったなー。学校帰りの家デートってこんな感じなのかな?」

彼女の背を向け傍らに上着を乱雑に置いた後、身体をくるりと反転させベッドに腰掛ける。
綺麗にメイキングされたベッドは俺の重みで凹んだ。

「…………」

何も言わずに立ちつくした彼女をまっすぐ見つめたまま、俺は首元に手をやる。
彼女のリボンとお揃いの色したネクタイを少し緩めて、口元を歪めた。

そっと息を吸って、
“あの空気”を身に纏う。王者の風格。
だれが言い出したかはわからないが、俺はその表現を結構気に入っていた。

「おいで」
「っ…………」

彼女は静かに瞳を伏せる。

いつも。
俺の言葉で魔法に掛かってくれる彼女が愛しい。

再び震えたまつ毛、ゆっくりと現れた瞳にはもう俺しか映っていない。

ねぇ、そうだろ?



学校という場所を離れて時を経た彼女。
でも童顔だからか制服がよく似合った。
現役といっても過言ではない。

白い肌に映える濃紺のセーラー服。
そこに俺はまたひとつ、スパイスを加えることにした。

「っ……ぁ……いっ、ん……」
「きつい?」
「……ううん……」

名は静かに首を振った。

「じゃあ……」

気持ちイイ?

窮屈そうな胸。
耳元に唇を寄せ囁きながら、服を押し上げる小さな突起をきゅ、とつまみあげた。
彼女は苦悶の表情を浮かべて仰け反る。

彼女の柔らかな、決して小さくはない胸には、衣装の上から数本のビニールの紐が食い込んでいる。
乳房を挟み込むように上下に紐を通し、その先端部分で彼女の両手首を後ろ手に縛り上げている。
ブラジャーは縛るのに邪魔だったから上に押し上げた。

辛くはないよう、
でも決してゆるくはないよう、彼女を限界まで追い詰められる強さで。
それは伸ばすたびに、ギチギチと音がした。

「現場にあった縄跳び。こういうことに使うのも粋だろ?」
「っ……んっ……」
未開封だった赤い縄跳びは、彼女の濃紺の衣装にも白い手首にもよく映えた。

しっかりと衣装を着た俺と、
セーラー服の上から縛られた名。
ベッド上で互いを見つめている。

紐が食い込んで歪な形になっている胸が欲望を駆り立てる。
いつもみたいな感触を楽しめないのは、まぁ仕方ない。あとにする。

「どう?」
「……動け、ない」
「それは、そーしてるから。そーじゃなくて、さ」

俺は笑顔を浮かべたまま彼女の太ももに手を這わせる。
触れるか触れないかの距離で、つつ、と滑らせると彼女は息を呑む。

「んっ……っ……」

紺地のスカートを徐々に手でまくり上げ、探り出す白い肌。
俺の手が触れると彼女は身体をくねらせた。

正座の姿勢でぴったりと閉じた両足を開くよう力を込める。
名は一瞬俺を睨みつける。
俺がその顔を覗きこんで見あげるとぶつかりあう瞳。

お前の目に映る俺はどんな表情をしてるんだろう。

きっとすっげー楽しそうなカオしてんだろうな。

隙をついて距離を詰め、もう片方の手で彼女の顎を下から掬いあげるように掴み、
唇をぶつけるかのようなキスをする。身体が少しだけ浮くように力を込める。

「んっ……ふ……」
「っ……ぁ……んっっ!」

彼女の言葉も抵抗心も奪い去るように口づける。
たまらず彼女が膝立ちの姿勢になった瞬間に両足をこじ開けて手を滑り込ませる。

唇を離してにんまりと笑う。思い通りに動いてくれる。
そして俺も彼女に目線を合わせるように立ち膝の姿勢へと変える。

「ひゃっ……んぅっ……!」
「あー」

下着の上からそこに触れると、電気が走ったみたいに名が震える。
そこは濡れていて、すげー熱かった。

「感じてるんだ?」
「ち、違うもん……」
「じゃあ、なんで……こんな濡らしてんの?」
「ぁっ……っ……」

布をずらして横から指を突っ込む。
ぬるついたそこはうまく触れないくらい。
既に膨らみ始めている突起を親指で引っ掻くと、いやいやと首を振る。

「ここ、好きだろ?」
「っ……んっ……やっ……」
「やーじゃーなーい」

すかさず紐に挟まれた胸へとしゃぶりつく。
唾液で紺色がより深い色に染まっていく。それを押し上げるように勃ちあがる突起に歯を立てる。

「や、んっ……いっ……」
「っ……んっ……」

服越しにそこを貪る感覚はなんとなく獣じみて思えて、自分がすげー野蛮になった感じがする。
動けない相手を嬲って楽しみたいと思う時点で獣なんだろーけど。

「こっちも」

もう片方の乳首も舌で突いて刺激してその形をハッキリと浮き上がらせる。
それから乳房ごと咥えてしゃぶった。
服越しだから甘いとかなくて、つーか、布の味?

「ふっ、ぁ……いやっ……透さ……んっ!」
「っ……んっ……」

無視して夢中で食む。
唇を押しつけて何度も噛みつくように動かして、顔でその柔らかさを確かめる。

くっきりと勃ちあがったそこを上下の歯で優しく挟みこんでから、二、三度しごく。

「やっ……あっ……!」
「ん……んー……ぁ……はぁ……こんなに堅くして、恥ずかしいヤツ」

堅くなったそこを今度は舌で嬲ってから強く吸い上げる。

俺の動きに合わせて自由の効かない身体を震わせる名。
上から漏れてくるその声は極上の甘さで俺の耳を刺激する。
甘いモノ苦手だけど、こーゆーのは大歓迎。

一通り胸を蹂躙したあと顔を離す。
涙目のお前と、乳首の周りだけ唾液が滲んで黒く変色しているセーラー服。

「ああ……なんかヤバ……」
「透さんの変態っ!意地悪……!!」

セーラー服に包まれた柔らかい肌に縄跳びの紐食い込ませてるお前にそう言われてもねぇ。

「へへっ、可愛すぎ……っ」
「っ……んっ……」

尖った唇にキスをひとつ。
離すとすぐにこぼす艶っぽい吐息。

「んで、エロすぎ」
「だっ、て……!」
相当恥ずかしいのか泣きそうになってる。
あー、その表情反則な。

真っ赤な頬に手を添え、それを髪の方へと滑り込ませる。
耳たぶを親指でいじりながら挑発的に笑ってみせる。

「お前がエロすぎておかしくなっちゃいそ……っ……」

その手に少し力を込めて、名の髪の毛をごそっと掴む。
ごめん、少し痛いかも。

「ねぇ、俺の辛いんだ。シて?その可愛い口で」

器用にもう片方の手で自分のベルトを下げ、下着ごとパンツをおろす。
もうそこは痛いくらいに勃ち上がってお前の中に入りたがってる。
でもまだまだお前を苛めたい俺はぐっと我慢して、彼女を煽ることに専念する。

「っ……」
「ね?はい、“う、ん”」
俺のそれを見て息を呑んだお前の頭を少し揺らして、無理矢理頷かせる。
そして立ち膝の姿勢のまま、勃ちあがってるそこに名の顔を引き寄せる。

「気持ち良く、してくれるでしょ?ね?」
「…………っ……」

名は無言で口を開け、俺を咥えた。
背筋を快感が駆け抜ける。

どうしようもなくエロい名の姿を見て興奮しっぱなしだったから気持ちイイけど、同時にすげー辛い。
気を抜くとすぐイッちゃいそう。

俺からは彼女の背しか見えない。
たぐまったセーラー服の襟はしわだらけ。
縛られた手首が少しだけ動いていた。

「っ……んっ……っ……ふ……」
「あっ……ぃっ…………」

彼女は俺を咥えたまま顔を動かす。
いつもだったら舌を這わせたりしてくれるんだけど、手が使えない今はうまくそれができないらしい。
それでも俺にとっては十分な刺激で、両目をぎゅっと瞑って快感に耐える。

「っ……んっ……ふ…………ふぅ……ぅ……」
「っ……ぁ……名っ、あっ……」

鼻に掛かった甘い声と俺のだらしない声だけが響く。
口に収まりきらない部分がもどかしい。

「もっと、奥まで、咥えて……ほら……っ」
「んっ……っ……」

彼女の髪を両手で掴んで少しだけ自身を押しこむ。
名は小さくかぶりを振った。咥えたままだから、新しい刺激が走って俺は再び口を噤んだ。

「名っ……んっ……」
「んっ……ふ……ぁ……ん……んむ……ぁ…」

さっきよりもずっと堅くて熱くて、もう俺が限界だった。

「あっ……名っ……!くっ……いっ……ぁ……っ!!」
彼女の頭からそこを抜いた瞬間、白い液体が飛び散る。

「あっ……ぁ……はぁ、はぁ、はぁ……っ……」
「はぁ、はぁっ……けほっ…はぁ……ぁ……」

口の端からよだれを垂らした名はめっちゃエロくて、
まるで出した俺を咎めるみたいに睨みつけてくるから、
また犯したくなる。

彼女の濃紺の身体に散らばった液体はまるで白い絵の具みたいだった。

「はぁっ…ぁっ………よくできました」

その視線を軽く流して、髪に触れる。
乱れたそこを整えるように、優しく撫でてやる。

「ご褒美に、もっとシてやる」
「きゃっ……!」

立ち膝の彼女の両肩を軽く押すとベッドに沈む。
投げ出された足からすっかり意味のなくなった下着を取り去った。
少し開かせてその間に身体を滑り込ませて、湯気が出そうなほどに熱い濃紺のカラダに重なる。

「辛い?」
両胸のすぐ隣辺りの縄を掴んで揺らす。
紐が伸びて、ギチギチと音がした。
「……っ……」
名は悩ましげな表情を浮かべて首元を反らす。
無防備な白いノドが色っぽい。

「それともまだこのままがいい?」
「…………」

名は何と返事をしたらよいのか迷ってるようだった。
困惑した顔に思い切り顔を近づけてから、耳元へ唇を寄せる。

「“なぁ、俺にこういうことされてる気分はどう?”」
「!?」
「“アンタがさ、正義ヅラしてさ、底辺の人間だって罵ったオレに逆らえない気分はどう?”」

それはドラマで使った台詞。

素行の悪い俺を底辺の人間だって罵った生徒会長へと放った台詞。
勿論、こういう場面で出てきたわけではないが、この場面にぴったりだと思った。

「……ねぇ、名。もっと酷いことしてあげる」

まるで歌を歌うように、楽しげに言い放つ。
俺は一旦置き上がって、彼女を見降ろしたまま周囲を手で探って或るものを探す。
袋に入ったままのそれ。
名は何が起こるのか不安げに俺を見つめている。

「これなーんだ」

取り出したのは縄跳び。
もう1つ持ってきていた。
その柄の部分を1つにまとめ、ゴムを被せて……

「どうすると思う?」
「……えっ……やっ……や……」
「あ、わかっちゃった?」

足をじたばたと動かそうとするそれを自分の両足とベッドの間に挟み込む。
これでもうどこも動かせない。

「ちょっと冷たいかもね」
「やっ……やめ……」
「俺さ、社会の底辺だから?こーゆーことしても平気なの」
「んっ……あっ……!」

ゴムで覆われた無機物を既にどろどろになった彼女のナカにゆっくりと押し込む。
無機物が中にどんどん飲み込まれていくのを見てヘンな気分になる。

「うわあ、すごーい。ねぇ、ヘンなもの咥えこんでる気分はどう?」
「っ……ぁ……バカっ!!透さんの変態っ……!」
「“カンザキ様”って呼んでよ」

ぐっとそれを押し込みながら言う。
身体をどこも動かすことができない彼女は首を左右に振り乱し違和感をなんとか放出しようとしているかのようだった。

「っ……ぁっ……!」
「カ、ン、ザ、キ、さーま。ほら」
「やっ……んっ……!」
「言わないとぐちゅぐちゅするよ?」

彼女の返事を待たずしてそれを奥まで押し込み、それでも入りきらなかった部分を握りしめて前後に動かす。

ぐちゅ、ぐちゅ……卑猥な音がする。

まだ自分の入ってないソコに、無機質なそれが入りこんでる事実がちょっと気に入らないから余計に意地悪したくなる。

そうしたのは自分なのに。

やっぱ名がエロすぎておかしくなってるみたい。

「やっ……ああっ……ひっ……んっ……っ……!!」
「可愛い声出しちゃって……さ……も……う」

だめかも。

彼女の嬌声と縄跳びが出入りする音が響く。
自分の心臓が早鐘を打つのも感じる。


すげー興奮してる。

「か、……っ……かん、ざき、さ……ま……やめ……て…」
「っ……!」
「透さんのが、……いい、あっ……透さんのじゃなきゃ……や、だぁっ……」
「…………!!!」

瞳を潤ませて快楽に耐えつつ俺の名を呼ぶ名に突き動かされる。
ナカに入れてたそれを引っ張り出し、性急に彼女の上に重なった。

「名……っ……バーカ!」
「透さ……んっ……」

理性なんてとうに失っていた俺に気の利いた台詞は出てこなくて。

自分の行動を詫びるようなキスがしたいと思ってたのに、
欲情にまみれた俺はうまく加減ができず貪るように唇に噛みついた。

「っ……ふっ……ぁっ……んっ」
「ふ……っ……ん、ぅ……ん」

キスをしながら歪に盛り上がっている胸に両手を這わせる。
縄跳びを少し引っ張ってから離すと、ばちんと音がして、また乳房に食い込んだ。
彼女が暴れるから、ギチギチと紐が耳障りな音を立てる。

刺激が強かったのか彼女が背をしならせる。

唇を離し改めて両足を開かせてから、すっかりぐちゃぐちゃになったそこに自身を宛がった。

「名っ、」
「透、さん……」
「っ……」
「……!!!」

言葉を紡ぐのすら辛かった。
お前のナカに入りたくてしょうがなくて、一刻も早く感じたくて、
異物で与えた刺激を上回る刺激を与えて、記憶を俺ので塗り替えたかった。
一気に突き入れる。

「っ……あっ……や……!!」
「ねぇ……俺のっ……んっ……はぁ……俺のが、いいだろ?」
「……っ……んっっ……!!」

すっかり潤いきっていたそこは俺を最後までぐぐっと飲み込んで行った。
強い刺激に頭がおかしくなりそう。

「…名っ……ぁっ……っ……」
「あっ……っ……」

手加減なんてできない。
衝動に動かされるままに彼女のナカを貪る。
響き渡る淫らな音に、匂いに、熟れた甘い声に理性も意識も何もかも持って行かれる。

久しぶりの名のナカは熱くてとろとろでぎゅうぎゅう俺を締めつけてきて、
もう溶けちゃいそう。

「あっ……制服同士だと……イケないこと、してる、みたい?……」
「はぁ……んっ……ぅ……ぁっ……と、るさ……んっ」
「なぁ、に?」

再び両手で乳房を掴み腰を揺らし続ける。
彼女の目から涙が零れ落ちる。

「気持ち、いいっ……の……あっ……ぁっ……んっ……」
「へぇ……まるで、ヘ・ン・タ・イ♪……だな……ぁっ……」
「やっ……あっ……っ……んっ……」

この倒錯感たまんない。
彼女を追いつめるように腰を打ちつける。

好きな人に制服着せて縄跳びで自由奪って、自分のこと棚にあげて相手を蔑む俺のがよっぽど変態だなんて思ったら笑ってしまった。

「イケよ……ッ、名っ、名……っ!」
「あっ、……やあっ……っっ!!!」

俺を千切らんばかりの勢いで中が締まる。
俺はぐっと自身を押し込んで彼女の上に倒れ込む。

「うっ……!」
「っっっ…!!!」

唇を重ね合った瞬間にふたりで絶頂を迎えた。



「たぶん、俺の中の“カンザキ”は……お前に“おかえり”って言ってもらえた瞬間に成仏したんだ」

繋がったまま、ただ抱き合っていた。
思いっきり体力を消耗したのも事実だったし、なにより名と少しでも離れるのが嫌だった。

「成仏?」
きょとんとした顔で名が繰り返す。
息がかかるほど近くにいるお前。
身体を重ねた後の表情は気だるげで、でも艶っぽくて、それがまた好きだった。

「カンザキっていうキャラクターは、小さい頃から成長するあの歳まで人から愛されたことがなかったんじゃないかと思う。だから寂しくて寂しくて周りを無理に従わせようとしたり、構って欲しくて悪いことしたり……って演じながら考えてたんだ」
「うん」
「でも俺には……名がいるから」

白い頬に幾筋も残る涙の跡を親指でなぞる。



身体を戒めていた縄跳びはあの後すぐに外した。

それから身体中に残った赤い痕は慰めるように舌でなぞった。
くすぐったい、と身を捩るお前を全身で癒すように舌を這わせた。

制服を捲りあげて今日初めて見た白い肌。
胸についた痕も、舌と唇を這わせる。

ひと通り舐め終わった後、彼女は急に俺を抱きしめた。
裸の胸が俺の服に擦れる。

「ずっと、触れたかったの」
なんて吐息混じりに言うからたまらず俺も抱きしめ返した。
強く、強く。

まどろみで織りなした層がまるでこの空間いっぱいに広がっているかのよう。
俺たちはまるでその層に優しく押しつぶされているからベッドから起き上がれないかのようで、
ただ見つめ合い、抱きしめ合っていた。

「俺は……お前がいてくれたら道を誤ったりしない。もっとすげーアイドルになる……からさ……その……」
「……ふふっ、だいじょうぶ。いつでもおかえりって言うよ、私」
俺の手に自分のそれを重ねて微笑む名。
俺はちくりと胸が痛んだ。

無理させてた、ってわかったから。

「離れてたとき……辛くなかったのかよ」
「…………」
「……俺は大丈夫じゃなかったのに?」
「本当はね、寂しかったり苦しかったりしたけど……今日透さんに会えたら全部忘れちゃった」
「……名」
「だから今まで通りで大丈夫。……ただ」
「……ただ?」
「……あんまり痛いのは嫌だよ?」
「…………ぶっ……」

真剣な顔して言うものだから吹き出してしまう。
くすくすと笑いながら、お前の胸元に顔を埋める。

ああ、名の匂い。くらくらする。
猫みたいにそこに鼻をこすりつけた後そこから彼女を見上げる。
悪戯好きな子どもみたいに。

「俺は気に入ったかも」
「えええっ!?」
「お前にもっと色んな服着せたり、ちょっとキツイことしてもらったり、とか?」
「もぉっ!!」

もっと名の色んな顔が見たいから。
ちょっと無理させても、許してくれる?

「……愛してる、名」

ぐっと首を伸ばしてキスをする。
優しく受け止めてくれる唇にありがとうの気持ちを。

そして今日はこれだけじゃ終われないことに、
ごめん、の気持ちを。

まどろみの層はもうすぐ消えてなくなる。
そしてまた欲望に濡れた時間を繰り返す。

会えなかった時間を取り戻すかのように、
距離をゼロにし続けたいから。


覚悟するよーに。


*END* 2014.12.31 



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