ときレス | ナノ


ぼくのかわいい、いちごずきんちゃん(音羽/裏/赤ずきんパロ)

これは、どこか遠い国のお話。

その国の東、小さな森の中、
ひとりのおんなのこが、家族と一緒に住んでいました。

「るんるんるん♪」

手にさげた飴色のバスケットには色とりどりのお花。
足取りは軽く、小鳥のさえずりに合わせて歌を口ずさみながら、
明るい一本道を歩く少女。


頭をすっぽりと覆ういちご色のずきんに留めた可愛らしい白いお花。
野原を埋める明るい草色のカーディガンに、
野生のお馬さんのような色のスカート。

透き通るような白さに、
ほんのり紅色に染めたほっぺは愛らしく、
みんなから「いちごずきんちゃん」と呼ばれていました。


よく晴れたこの日。
いちごずきんちゃんがこの道を歩いているのは、
お散歩の為ではありません。

少女はいま、お母さんから頼まれたおつかいの途中なのです。

「私のいちごちゃん。
 おばあさんがご病気になってしまったのよ。
 おばあさんはお前をとっても可愛がってくださったのだから、
 お見舞いに行ってあげなさい。きっと、喜んでくださるから」
「はい、お母さま」
「それじゃあ、このケーキと、葡萄酒を一本持ってお行き」

いちごずきんが、おばあさんのとことへ一人で行くのは初めてのことなので、
お母さんは心配でなりません。
でも、お母さんには用事があって、一緒に行けないのです。

「いいですか。途中で道草をしてはいけませんよ。それからオオカミに気をつけなさい。
 オオカミはどんな悪いことをするかわからないから、話しかけられても知らん顔するのですよ」
「はい、お母さま。だいじょうぶよ」

彼女は、母親を安心させるように元気よく頷きました。
飴色のバスケットに、ケーキと葡萄酒を入れ、家を出たのでした。


しかし、こんなに気持ちいい晴れの日。
道に咲いているお花はどれも綺麗で、ついつい足を留めてしまいます。

「おばあちゃんに持って行ってあげるのよ。これは道草ではないわ」

自分に言い聞かせては、花を摘みます。
バスケットの中に可憐に咲く色とりどりの花に、いちごずきんは嬉しくなりました。

「うん♪これでおばあちゃんも喜んでくれるわ。病気もすぐ治っちゃうかも!」

バスケットがいっぱいになってきたので、
そろそろおばあちゃんの家に急がないと、と少女がスキップをしながら歩き始めると、
目の前に突然大きな影が現れました。

「こんにちは♪」
「こ、こんにちは…あなたは?」

問うてから、少女は後悔しました。
なぜなら、目の前に現れたのは、
大きな鋭い耳に、ふさふさの夜色のしっぽ。
外見は自分たちとよく似ているけれど、そのこわぁい特徴。
それは、母さんから気を付けるように言われたオオカミだったからです。

でも、少女の知っているオオカミとはちょっと違って見えました。

「ぼく?ぼくはシンノスケだよ。シンって呼んでくれたら嬉しいな」
「シン?」
「うんうん♪」

彼は嬉しそうにニコニコしています。
いちごずきんに名前を呼ばれたことにとても満足しているようでした。

「シンはオオカミさんなの?」
「うん、そうだよ。でも、悪いオオカミじゃないから怖がらないで」
「ほんとう?」
「本当だよ。その証拠に…」

ほら、と手渡されたのは、少女の大好きな赤色のお花でした。

「お友達のしるしに、きみにプレゼント。可愛いでしょ?」
「わあ…ありがとうシン!とっても可愛いわ」

白色のほっぺを赤く染めて、少女は無邪気に微笑みます。
シンもつられて笑顔を浮かべました。

「じゃあ、ぼくとお友達になってくれるかな?」

シンはちょっと身体をかがめて、少女の目線と同じ高さにして、軽く首をかしげます。
背の後ろに見えるしっぽは楽しげにゆらゆらと揺れていました。
ふわふわの毛並みがとっても気持ちよさそうです。

少女は潤んだ瞳で彼を見つめ返しました。

(お花もくれたし、にこにこしてるし、優しいオオカミさんもいるのかな?)

彼女には、彼がどうしても悪いオオカミには見えませんでした。
だから、大きく頷きます。

「うん!お友達になりましょう」
「わぁい♪ありがとう。じゃあちょっとお話しようよ。そこの原っぱで」
「だめよ。私はこれからおばあちゃんのところへ行くの」
「そうなの?」
「おばあちゃんはご病気で、このケーキと、ぶどう酒と、お花を届けなくっちゃ。だからダメなの」
「ふぅん……」

シンは何か考え込むようなしぐさをします。
辺りには相変わらず、心地の良い風が吹いていました。

「ぼくの見間違えじゃなければ、きみのおばあちゃんはもう元気になったみたいだよ?」
「えっ?」
「さっき、きみに会う前。おばあさんのおうちの近くを通ったらね、おばあさんは元気そうに、洗濯物を干していたよ。きみと同じ鼻歌を歌いながら」
「ほんとう?」
「うん、本当だよ。だから、すっかりよくなったんじゃないかな?」

(私が歌っていたのは、おばあちゃんから教わったお歌。だから、シンが見掛けたのもきっと私のおばあちゃんだわ。
 おばあちゃん、元気になったのね!)

「教えてくれてありがとう!」
「だからさ、すぐにおうちに帰るより、ぼくとお話しよ?だってこんなに気持ちのいいお天気なんだよ」
「…うん!そうね、お話しましょう」

いちごずきんは、少し考えてから頷きました。
お日様はまだ空高くあがっています。
少しおしゃべりをして帰っても、お母さまに怒られることはないと考えたのでしょう。

「じゃあおいで、こっち」
「あっ……」

シンは少女の手を取り、野原へと導きます。
彼の手は大きく、すっぽりと自分の手を覆う体温に、彼女は少しびっくりしました。
でも、触れるぬくもりは心地よく、まるでひだまりのようだと感じていました。


***


少女の家からシンに出会った場所までは、
背の高い木々も少なく、明るい道のりでしたが、
ここは森のど真ん中。
少しだけ暗くて、夜はとっても怖い場所です。

「さ、ここ座って」
「うん」

高い木々の多いこの辺りで、少しだけ拓けた空き地。
シンは彼女をそこへと案内しました。
いちごずきんは、提げていたバスケットを傍らに置き、
同じようにそこに腰をおろします。


僅かに見える空は高く、濃い青色。
そこから覗く柔らかな太陽の光が、二人の場所を優しく照らしていました。

(夜はとっても怖いけど、まだ明るいからだいじょうぶよね)

暖かい光に包まれ、気持ちよさそうに目を細めるシン。
一方、繋がれたままの手を見つめながら、
いちごずきんは心の中で頷きます。

(きっと怖いことがあったら、シンがこの大きな手で守ってくれるもの)

風に揺れる鮮やかな色の草。
飛んでいるちょうちょは、くるくる、きらきらとダンスを踊っているようです。

「気持ちいいね」
「うん、とっても」

シンの柔らかそうな髪が風になびいています。
いちごずきんちゃんはこんなに綺麗で背の高い生き物を見たことがありませんでした。

「シンは女の子なの?」
思わずそう訊いてみると、シンは不思議そうに首をかしげます。

「ぼく?ぼくは、そうだなぁ、きみたちのいうところの、男の子、かな」
「へぇ…わたし、男の子にあまり会ったことがないからよくわからないの」
「ふぅん……」
「男の子のお友達ははじめてだから、とっても嬉しいわ」
「そうなんだ。それはぼくもうれしいな」

シンはそう言うと、バスケットを見つめました。
そして、少女の手を解きます。
突然離れたぬくもりに、少女は言いようのない寂しさを覚えました。
そんな気持ちを露知らず、
シンはバスケットを引き寄せ、中を覗きこみます。

「おばあさんに、ケーキと葡萄酒を届けている途中だって言ってたね?」
「うん、そうだよ」
「おばあさんはもう元気そうだから、ぼくたちで食べちゃおうよ」
「えっ!?」
「だいじょうぶ。おばあさんには、後でぼくからケーキと葡萄酒、それにたくさんの果物を届けておくからさ」

“ダメ?”

シンは少女の瞳を見つめながら、可愛らしく首をかしげます。
大きな耳がふるりと揺れました。

「うーん…それならだいじょうぶかな」
「よし、決まり♪じゃあ開けるよ。ノドが渇いたから、まずは葡萄酒が飲みたいな」

シンはバスケットの中を探り、葡萄酒の瓶を取り出します。
少女がその様子を見守っていると、ふと彼女に背を向けました。
次の瞬間、瓶に蓋をしていたコルクを牙で挟み込み、一気に開けました。

「開いた。よかった」
「シンはお酒が飲めるの?大人なの?」
「うーん…まぁ、ね。でもオオカミにはあんまりそういうの関係ないんだ」
「ふぅん…そうなの」

よくわからぬまま少女が相槌を打つと、
シンは笑った。

「きみも飲むよね?」
「えっ、私は葡萄酒を飲んではいけないと、お母さまから言われているから…。子どもはダメなんだって」

しゅん、と肩を落とすいちごずきん。
シンはそんな彼女の肩をそっと抱き寄せる。
少女はドキドキして1ミリも動けません。
シンは葡萄酒を一口飲み込んでから、甘い息を吐きます。

「きみはもう子どもじゃないよ。それに、ぼくが飲ませてあげる。それならお母さんにも怒られないよね?」
「えっ…!?」

少女の肩にまわされた手がそのまま彼女の顔を引き寄せ、彼の方へ導き…
柔らかな唇が重なりました。

「んっ…」
「……っ……」

すぐに離れていく唇。
漂う葡萄の香りに、いちごずきんはくらくらしてしまいました。
恥ずかしくて、何も言わずに俯いていると、
頬に当たる彼の手が僅かに動きます。
ハッとして彼の顔を見上げると、葡萄酒の瓶に口をつけていました。
そして、彼女の方を向き、口元を少し歪ませ…

「っ……」
「!?」

再び唇が重なります。
しかしさっきと違い、彼女の小さな唇を割って、シンの舌が中へと押し入り、
甘い液体を注ぎ込んでいます。

「っ……」
「っ…ぁ…ふ……」

赤くて甘い液体は二つの口の中に満ちて混ざり合い、
シンが舌を動かすたびに、中でかき混ぜられ、ぐちゅぐちゅとした音が響きます。

こくん、と、
液体を飲み干すいちごずきん。
口の端から溢れた赤色が扇情的で、シンは息をのみました。

「どう、初めての葡萄酒は美味しかった?」
「ど、どうしてこんなこと…!?」
「ねぇ、ぼくも初めてが欲しいんだ」
「!?」
「ぼくを…きみの初めての男にしてくれる?」

言うなり、シンは彼女を押し倒しました。
紅色の頭巾ははずれ、地面に広がります。
身体の大きさが全然違う少女には、なす術がありません。

「やっ、やだっ…!!!痛いことしないで!」
「ふふっ、怖がらないで…初めては誰だって怖いんだよ。ちょっと痛いかもしれないけど…大丈夫。ぼくに全部任せて」
「私を殺すの!?」
「殺す?……ふふっ、そんなことしないよ。だってぼくは可愛いきみが大好きなんだから」
「悪いことしないって言ってたのに…!」
「やだなぁ…悪いことじゃないよ。葡萄酒も飲んだことがない、大事に、とっても大事にされてるきみを大人にしてあげるんだから」
「っ!?……!!」
「それに、気持ちいいんだよ」

シンが器用に首元のリボンを解くと、白い首筋が露わになります。
そこに唇を寄せると、少女が悲鳴をあげました。

「仕方ないなぁ…」

シンは不服そうにつぶやくと、そこに鋭い牙を立てます。
尖ったそれは、彼女の白い肌に圧を掛け、痛みを与えました。
びっくりしたいちごずきんは口を閉ざします。

「怖くないから。それに大声だしたって無駄だよ。ここは森の中。だぁれもいないし、だぁれもこない」
「シン……」
「なぁに?」
「あなたなんて嫌いよ」
「……ざんねん。じゃあ、いっぱいがんばって、いっぱい気持ち良くして、いっぱい好きになってもらお♪」

“ね?”

ふふっ、と甘い吐息が少女の首筋を撫でます。
牙があてがわれていた部分をぬるりと熱い舌が這うと、
今まで感じたことのない感覚に、少女の首がのけぞりました。

「っ…!!」
「あれ?首弱い?」

自分に覆いかぶさるシンの肩を我武者羅に押し返す少女の両手。
それは大きな彼の身体には何の効果もなく、ただ首筋を吸われるままになっています。

「っ……ぁ……ゃっ…」
「あぁ…そう……それ……いい声…」
「っ…!!」
「いちごずきんちゃん、って呼ばれてるんだよね、きみ。だからかな、とっても甘いよ」

舌が這った場所を風が撫でるたびに、ひりひりと痛みます。
ざらついた舌は彼女の肌を容赦なく蹂躙していきました。

きっちり全て閉じられていた衣服のボタンを全部外すと、
更に見える白い肌。
お日様にさらされないそこは、腕や顔よりも、もっと白く見え、シンは舌舐めずりしました。

「いっぱいぼくの跡、つけてあげるね」
「ぁっ…やっ……」
「ぼくのこと、忘れさせない」
「っ…ぅ……!!!」

彼女の身体が跳ねるたびに震える、身体に似合わぬちょっと大きめの二つの膨らみを愛しそうに両手で包み込むシン。

「ほら、ここはもうこんなに大人だ」
「さわ、ちゃ、やっ……」
「なんで?気持ち良くなっちゃうから?」
「ち、ちが…!!」

シンは膨らみを何度も揉みながら首を振る彼女を興味なさげに見つめます。
そして、その膨らみの桃色の先端を口に含みました。
ざらついた舌で刺激すると、そこはあっという間に硬く、その存在を主張し始めます。

「ふふっ…エッチないちごずきんちゃん」
「なっ…ぁ……ふぁ……」
「まるでいちごみたいに、ここも真っ赤だよ」
「やっ…!!」

ちゅ、と口付けられたと思ったら、ぬくもりは離れ、
代わりに指でつままれ、きゅ、とひねりあげられてしまいました。
いちごずきんの目に涙が浮かびます。

「もしかして痛いの、好き?」
「好きじゃ…ないもん……」
「そっかー…でもちょっと痛いかも、ごめんね」
「…え……」

身体からすっかり力が抜けてしまった少女は、成す術なく、彼の次の動作を見守っています。

鳥のさえずりももう聞こえず、
木々の隙間から見えていた太陽も姿を潜めてしまいました。
少し前まではあんなに暖かかったこの場所のぬくもりは息を潜め、
冷たい風が吹きぬけます。

露わになった身体には冷たく、いちごずきんは身体を震わせました。
茫然としていたのも束の間、すぐに腰のあたりに大きな手を感じました。

「やっ……なにっ?」
「よいしょ、っと…」

シンは、スカートをまくりあげると、
少女の暴れる足を押さえつけ、白いタイツを脱がせます。
そして白い足の間に手を突っ込むと、そこをぐっと刺激しました。

「そんなとこ、だ、だめっ…!」
「わあ…熱い……もしかして濡れてる?」
「っ…!」

ショーツの端から指を入れると、熱い体液が彼の指に絡みつきます。

「すご…」
「……っ……!」
「やっぱりエッチだね、いちごずきんちゃん。エッチな子、大好きだよ、ぼく」
「…………」
「エッチないちごずきんちゃんはもっと好き」

ぐっ、と指を中に進めて行きます。
少女は声を失いました。
閉ざされたそこに硬くて冷たい指がぐいぐいと入ってくる痛み。
また一筋、涙が流れました。
シンはその様子をうっとりと見つめ、中に入れていた指を増やすとゆっくりと動かします。

「ひっ……ぅ…」
「こうしてあげないと、もっと痛いから」

ぐちゅぐちゅと、
聴いたことのない音が静かな森に響きます。
それに重なるシンの甘い溜息、いちごずきんの押し殺した声。

中をほぐし、広げるように優しく、でも強引に動く指。
いちごずきんのそこは更に濡れていきます。
べたべたになった手をそこから退いたシンはそれをぺろりと舐めます。
そしてにっこりと笑うと、白い足を掴んで大きく開きました。

「そろそろいいかな?」
「っ……ぅ……」
「泣いてるの?」
「嫌い……嫌いよ、シンなんて…」
「ふふっ…じゃあ好きになってもらえるようにがんばる…ねっ」
「ぁあああっ…く………んっ……っ!」

少女は、感じたことのない大きなものが自分の中に入れられるのを感じました。
下着を脱がされることなくその隙間から侵入してきた大きなそれに、息が詰まります。

「くっ……あっ……!!」
「あぁ……いちごずきんちゃん……きつ……いね……」
「痛い…っ、痛い……んっ……!」
「ふっ………」

喚く唇に蓋をされ、ぐいぐいと押し進められる熱。
シンの大きな身体がぐいぐいと彼女を支配して行きます。

焼けるように、裂かれるように痛くて、悲鳴をあげたいのにそれを阻まれ、
声はシンの口の中で留まってしまいます。
それどころか、口の中まで彼の舌でかき回され、息ができません。

少女の瞳には涙がいっぱいに溜まり、ぽろぽろと零れ落ちます。
それでもシンは進むことを止めず、やがてぴったりと2人の身体が重なりました。
そこでようやく唇を解放され、新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込みました。
びっくりした肺から空気が押し戻され、咳込んでしまいます。

「はぁ……やっと入ったかな…?ねぇ、わかる?ぼくのこと」
「っ……う……けほっ…っ…」
「一緒に気持ち良くなれるといいな…ね?」
「…………」

怒鳴る気力もなくなり、
ハの字に眉をひそめてシンを見上げるいちごずきん。
怯えるような表情は、シンの加虐心を満たします。
もっと喚いて、泣いて、ぐちゃぐちゃになってしまえと心の中でほくそ笑みながらも、
顔には出しません。
彼は”良い”オオカミなのですから。

「動くよ…」
「んっ……ぁ……!」

きつくて到底動けそうにありませんでしたが、
ゆっくりと、シンは腰を揺らします。
自分の動きに連動して跳ねる少女が愛しくて、いじらしくて、どうしようもありませんでした。

時折、大きく揺らされる膨らみを口に含んでは苛めてやると、
少女の意識は痛みから少しだけ解放されるようで、甘い吐息をもらします。

「胸、いじられるの、っ…ん……好き、みたいだね。もっと…してあげる」
「っ…ぁ……はぁ……ん」

無垢な少女のすべてを自分のものにできる悦びが、
シンの身体を駆け抜けます。
もっともっと彼女を可愛がりたいのに、吐精感を抑える事ができません。

自分のするが侭に動くいちごずきんが非力で、弱くて、それでいてとても愛しいのです。

「いちご、ずきんちゃっ、ん…ぁ、はぁ……きみはもうぼくの、もの、だからねっ……」
「ぁっ……んっ……ぅ……」
「こんなことお母さんには言えない、よねっ…言いつけやぶって…道草…食って……そんな挙句、オオカミに食べられちゃった、なんてっ…さ……ぁ…」
「っ……ふ…ぁ……いや…ゃっ…」
「恥ずかしい…子……ぁ…いちごずきんちゃん、……きみは、ホントに……恥ずかしい子…だよっ…くっ…お母さんに言ったらさ…どんな、顔されるかな…?っ…」
「言わない…でっ……お母さまに言わないでっ…!ぁっ……」
「じゃあ、これは…ぼくときみの…秘密だからね…?あっ……も……出すよ……」
「えっ……あっ…きゃっ………」
「きみは、もう…ぼくの、ものだよ……くっ、あっ!!」
「ああっ…やっ……!!!」

どくんどくんと脈打つそれが、少女の中におさめられたまま、白い欲を散らしました。
立ちこめる独特の香りと、汗の香り、葡萄酒の甘い香りが、風に運ばれて行きます。

「はぁ…大好きだよ、いちごずきんちゃん。きみはその名前の通り、とっても美味しくて甘いんだね」
「…………」
「今度はきみのおうちまで迎えに行くよ。また、食べさせてくれるよね?」
「…………」

シンは返事をしない彼女を見てから、地面に広がっているいちご色の頭巾に付けられている花をむしり取りました。

「これが今日のぼくたちの証拠だよ。友達の証」
「…………」
「誰かに言ったら、きみのお母さんにこれを見せて、全部話してあげる。ここで起こったこと、全部」
「だ、だめ……」
「じゃあ、これからも友達でいてくれるよね?」
「…………うん…」
「わぁい♪ありがとう。やっぱりいちごずきんちゃん大好き!」

シンはぐったりとした彼女をぎゅーっと抱きしめると、頬に優しくキスを落とします。
それから乱れた衣服を綺麗に整え、バスケットに入っていた紙ナプキンで、汚れを拭いてあげました。

「また会おうね。ぼくの可愛いいちごずきんちゃん」

最後に、お花の取れた紅色の頭巾をかぶせ、シンは立ち上がります。
少女は力がまだ入らない身体でどうすることもできないまま、
その背中を見つめていました。
揺れるしっぽのリズム。
彼の動くリズムが頭をよぎります。

「嫌い……嫌いよ……あなたなんて…」

すっかり気温も下がり、辺りは黄昏の空気に包まれていました。
冷たい風が広場を吹きぬけると、バスケットの中に残された蓋の開いた葡萄酒の香りを散らします。

甘くて、
熱い…

誘発される痺れと疼き。

いちごずきんちゃんは、なぜか再び熱く火照る身体に慄きながら、
彼の柔らかい声を思い出していたのでした――――。


2014.4.2

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