夢/うたプリ | ナノ


  持て余す熱(蘭丸/微裏)


「ら、蘭ちゃん…!っ…ん」
「黙れ…っ」
「んっ、……くるし……」

部屋に訪ねてきて、彼を迎え入れるなり、両肩を掴まれ、壁へと押し付けられる。
と、同時に、獰猛な彼の唇が私の口を覆う。
押し返そうと彼の胸に置いた手は、私の両肩を掴んでいた手によって掴まれ、あっけなく壁へと縫いとめられる。

手首に感じる彼の体温は高く、唇も燃えるように熱い。
体内に燻ってるエネルギーを持て余すかのような勢いで、尚も唇を蹂躙される。

「んうっ……んっ」
鼻を抜ける自分の声が甘く、だんだんとはしたなくなっていることに気付いたけれど、どうしようもできなかった。
彼はどんどん身体を密着させてきて、私の両足を膝で割って入りこんでくるものだから、もう身動きすらとれない。
彼の胸に押しつぶされた自分の胸から、高鳴る鼓動が振動として伝わってしまうのではないかと思うほどの距離。
いや、距離という概念すらそこにはない。
ひとつになりそうな感覚。

もう苦しくて苦しくて、呼吸もままならないから、いやいやと唇から逃れるよう首を振ると、
彼はその唇を首筋へと移してくる。

キスのせいで、しっとりと汗ばんだそこを濡れた彼の舌が這う。
びくりと大げさに跳ねた身体に、蘭丸がわらった気配がした。

「もうその気になってんのか?」
「ち、違うもん…!」
否定した声は上ずっていて、甘い吐息を孕んでいた。

首筋を痛いくらいにきつく吸い上げた彼が至近距離で見つめてくる。

「……エロい顔してんなよ」
「!!だ、だって…!」
「我慢できねぇ」
「こ、ここじゃやだ!ベッド、いこ」

いこう、と言おうとした瞬間、ふたつの胸をぐっと掴まれたから、声がのどで詰まる。

「我慢できねぇ…すぐお前が欲しい」
「ら、蘭ちゃ…あっ、ん」

鷲掴んだそこをぐいぐいと揉みしだかれて、私は顔をゆがませる。
痛いくらいの愛撫。いや、彼のそれは実際痛いときがある。
でもその痛ささえ、狂おしく求められているような気がして、私を幸せにする。

ライブの後の蘭丸はいつもこうだ。
ライブで高まった熱を放出しきれずに、こうして私を求めに来る。
だから…

「もうシャワー浴びたのか」
「だって、蘭丸いつもライブの後は…」
「風呂場でヤるのもいいんだけどな」
「かっ、風邪ひくでしょ!?」
「ま、シャワー浴びて待ってたいい子にはご褒美やらないとな」
「別に蘭丸の為に浴びたわけじゃないもん」
「すぐにぐちゃぐちゃにしてやるから」
「っ、んあっ…!」
「そしたら風呂場でもできるだろ?」

刺激され堅くなった胸の飾りを服の上から歯で探り当てながら楽しそうに彼は言う。
涙と唾液と汗と精液であっという間にそうなる未来が見えている。

「すぐへばるんじゃねぇぞ」

私のTシャツを捲りあげながら笑うと、あらわになった素肌に口づけを落としていく。
もう抵抗する気のない私は、熱いキスに酔いしれながら、既に力の入らなくなっている身体をなんとか壁に預けてその体勢で居続けることに必死だった。

長い夜は始まったばかり。


2013.3.8

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