54
正直に言おう、歩くだけですら、結構キツい。
これで戦闘になんてなったら、終わる。
「それで、エイダは何があったの?」
私の言葉に彼女は視線を逸らして、ぽつり、と言った。
リア充でも、友達なら末永く爆発してほしい
「恋人が、アンブレラの研究員だったの。」
が、彼が捕まって、捕まえた人に彼を人質に脅されたらしい。
それで、大統領の娘を命令によって誘拐したんだとか。
ちなみに、アンジェラとシェリーを連れて行ったのもエイダだそうで。
そう、と、軽い返事をして、というか、それしかできなくて。
痛みを見せないように、無理矢理に微笑んでみせた。
とりあえず、ルイスの所まで戻ろう、と警戒しながら歩く。
と、これから向かう方から、複数の足音。
刀を構えて、待ち構えれば、レオンやアリスたち一行。
中には、大統領の娘もいる。
「ヒサメ!」
「レオン、その子、名前は。」
「え?ああ、確か、アシュリーだ。」
私に近寄ってきたレオンにそれだけ聞いて、彼女に近寄った。
「血を、吐いたりしていない?」
「な、何よ突然。」
「いいから、答えて。あなたが人間でなくなる。」
真剣に目を見て告げれば、彼女は首を左右に振る。
まだ、大丈夫ということだろう。
少しほっとして、深く息を吐いた。
瞬間、力が抜けたのか、体に痛みが走る。
ごほごほ、と咽せて、口の中が血の味でいっぱいになった。
座り込んでしまいたい、だが、彼女たちをルイスの元まで案内できるのは、私だけだ。
「レッド・クイーンは…破壊した、だが、黒幕はまだ、いる。」
それだけ告げて、エイダを手招きする。
「牢屋、わかる?」
「わかるけど。」
なら安心だ、と小さく笑って、彼らを牢屋の方へ連れて行ってくれ、と告げる。
私は先に行くから、と倒れない程度に走り始めた。