10
脱出地点付近で、気がついた。
仲間たちが捕まっている、その上、アリスが先ほどのネメシスさんと戦っている。
「先…ヘリ。」
「ああ、わかった。」
私の努力は、どのへんに消えた
ヘリはあっさり奪えた。
中に一人しかいなかった上、他は皆アリスたちの戦いに夢中になっていたからだろう。
休んでいろ、と座らされ、その声に小さく頷く。
レオンがヘリから出て行くのを見届けて、私の意識はぷつりと切れた。
「ヒサメ、」
声がかけられ、ゆっくりと目を開く。
心配そうな目をしたジルが、私の手を握っていて、反対の手はシェリーが握っていた。
二人に小さく笑いかけて、口を開く。
「二人とも、怪我、ない?」
「っ馬鹿!何考えてるのよ、」
ジルが辛そうに眉をしかめた。
彼女に握られていた手を離して、頬に手を当てる。
「お姉ちゃんが、守ってあげる。」
ぽろ、と溢れたジルの涙にびっくりして、無理矢理に体を起こした。
未だに背中が痛いが、ましな痛みになっている。
シェリーを片手で抱き寄せて、ジルの額に、額を当てた。
「大丈夫、泣かないで?」
「泣いてない!昔から泣くのはヒサメの方でしょ!」
「それもそうだねぇ…」
と笑えば、ジルはそうよ、泣き虫お姉ちゃんがヒサメなんだもの、と小さく笑う。
たしかに、と笑って返してから、腕の中の女の子に視線を移した。
「シェリー、約束守ったでしょ?」
「…うん。」
小さく頷いた彼女は、ぎゅう、と私に抱きつく。
よしよし、と頭を撫でながら、私はブーツを脱いだ。
ごどん、と激しい音に、全員の視線が集まった。