旦那 | ナノ



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と、閉会式が始まるので、それをやめ、式に集中する。
最優秀選手として紳先輩が選ばれたのを見て、口元がほころぶ。
と、宗くんに彰くん、ノリさんに富中エースと続いた4人に、納得しながらも知り合いだな、となんとも言えない感覚に陥る。
まあ、バスケしてたら必然的にバスケやってる知り合いは多くなる訳だし、可笑しなことじゃない。
とりとめのないことを考えながらの閉会式は終わりを告げる。
元々長々とやるものじゃないし、ちょうどいい。
そのまま解散が伝えられるが、私たちマネージャーは全員で一度学校へ向かう。

「やばい私逆ハーレムだ」
「リアルハーレム築いてる奴がよくいう」
「っぐ…それ私のせいじゃないです」
「お前のせいじゃなかろうと事実だからな、ほら、噂をすればって奴だ」

相沢さんが、指差した方を見れば、宗くんと紳先輩がいた。
あとついでのようにノブくんが後ろで困惑している。
思わず視線を逸らしたが、彼らは気にしないのか、近づいてきた。

「氷雨ちゃん、マネージャーの仕事?」
「うん、宗くん先帰っててね」
「俺を仙道と二人にするつもり?」
「…いや、同じ部屋にいなきゃいいじゃん。なんでいつも通り集まる気満々なの?」
「俺と仙道の二人から、昨日の氷雨ちゃんについて話があるから」
「待って、昨日のって、絶対紳先輩のせいのあれでしょ?私のせいじゃないじゃん、やだよ」

眉を寄せて首を振る。
あからさまに不満そうな宗くんを視界に入れて、はあ、とため息をついた。

「わかった、二人きりが嫌なら洋平くん呼んだらいいじゃん。多分きてくれるよ、今日バイトないはずだし」
「…なんでそんなに詳しい訳?」
「だって、洋平くん毎月うちのカレンダーにシフト書き込んでるよ?バイトある日もない日もうちに来ること多いから」

肩をすくめる。
なんか知らないうちに私の家たまり場みたいになってる気がするけど、まあいい。
そもそも洋平くんは宗くんや彰くんより時間の自由がきくこともあってお手伝いをしてくれる。
とてもいい子だし、平然と、そして、すんなりと私のテリトリーに入って来るから拒絶を示す暇もない。

「ついでに言えば、ここ最近忙しかったからってお夕食作ってくれてたの洋平くんだからね?」
「え?」
「氷雨さん部活で忙しいんでしょ?って」

スパダリかよ。
元々うちの部屋の鍵の暗証番号なんて、彰くんも宗くんも知ってるし、別に一人増えたところでね。
私の部屋には個別で鍵かかってるし、問題ないでしょう。
なんて話していればどんどんと時間が過ぎていく。

「そういう訳だから、私は学校行くね、相沢さん待ってください!」

ポカンとしたままの宗くんたちを放置して、ゆっくり進み始めていたマネージャー軍団の後を追いかけた。

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