旦那 | ナノ



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そして、勝つために、海南の選手一人ひとりに対しての傾向。
どのシュートが最近調子いいとか、まあ、簡単にそう言うのを伝える。
時間はあまりかけないように、それでいて、効果的に頭に入るようにして…。

「あ、一応なんですが、湘北のメンバーの性格、必要ですか?」
「性格?」
「はい、負けず嫌いが、揃ってます。ついでに、自信家も」

肩をすくめながら伝えて、口元を抑える。
くわ、と一度欠伸してから、以上ですかね?と首を傾げた。
橘くんが、だと思う、と頷いて、資料を高頭先生に渡す。
それからくるりと踵を返して、洗面所に向かった。
冷たい水で顔を洗うが、眠気が飛ぶことも無い。
が、少しはすっきりしたように思う。
正面の鏡を見ながら、何度も瞬いて、もう一度顔を洗う。
目を擦って、軽く頭を振った。

「…俺も」

同じように眠そうな顔をしている橘くんが隣の洗面台で顔を洗い始める。
すっきりした、うん、と自分に言い聞かせて、振り返って、告げた。

「資料ぐらいでしか、お手伝いできませんけど、勝ちたいのは、私たちも一緒ですから」
「俺たちの気持ち分も、力にしてもらえたら嬉しーっす」

タオル忘れた、と思いながら手で水を払っていると、目の前にタオルが差し出された。
ぱちり、と瞬くと、目の前には紳先輩がいて。
ありがとうございます、と受け取って顔を拭かせてもらう。

「わかってる、本当にお前たちは頑張ってくれてるよ」

困ったように眉を下げて笑ってくれる紳先輩に、こくり、と一度頷いた。
隣では橘くんが宗くんからタオルを受け取っていた。

「ま、さっきは俺たちも悪かったし…お互い様、ね?」
「…悪い、ありがとう」

宗くんの言葉に、橘くんが頷いて、ホッと息を吐く。
寝不足は情緒不安定の元な訳で、ぎゅう、と下唇を噛んだ。
それから、無理矢理に笑顔を浮かべて、選手を見渡す。

「常勝海南!決勝リーグ全勝でIH行きましょうね!」

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