旦那 | ナノ



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ふに、ふにふに、ふにふにふにふに

「はぅうう、」

首を左右に振る。
素敵過ぎて言葉が出ない。
感動のあまりに視界が歪んだ。
今度は触れさせただけの指を左右に動かす。

「ふわぁあぁああっ」

何だこの唇魔性すぎる。
多分、この辺では既に倫理観とかぶっ飛んでたんだと思う。
思わず、紳先輩の目を見つめ、あ…あの、と声をかけた。

「何だ?」
「キス、していいですか。」

そう問えば、ああ、と目を細める紳先輩。
ごくり、喉を鳴らして、もう一度その唇に触れる。
軽く目を伏せたその姿は眠っているようで、禁欲的だ。
にも拘らず、色気があって、ああ、頭が可笑しくなってしまいそうだ。
そっと、顔を近づける。
ふわ、とひんやりとした唇に触れた。
すぐに離れたが、ドキドキが止まらない。

「どうした?」

その言葉に脳が元通りになったのか、一気に羞恥心が襲ってくる。
口を抑えて、目を逸らした。
が、紳先輩が困ったように笑う。
私の口を抑えている手をずらされ、驚いてその顔を見る。

「悪いな、」
「え?…んっ?!」

ちゅ、とキスされる。
逃げようとするが、既に拘束されていて、逃げられそうにもない。
思考が溶けるような、気持ちのいいキスで、目の前がチカチカしたその時だった。

「氷雨ちゃん!無事?!」
「…、宗くん。」

助けが入って来てくれて、ほっと息を吐く。
やばい、気をつけないと流される…。
認識を新たに、私は気をつけよう、と心に誓う。
ちなみに、その日結構な高熱が出ていて、熱にうかされていたらしいことが宗くんによって判明した。

魅惑の唇


*********
あとがき
壱萬打アンケートでリクエストしてくださった匿名さまに捧げます。
おまかせ、というリクエストでしたので、紳先輩とのいちゃいちゃにしてみました。
若干怖いくらいにハイテンションですが、『旦那』ってこんな話でしたっけ…?
と、言われそうです…牧さんの唇は正義!


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