正義 | ナノ



065
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見れば、気まずそうに視線を逸らす、サガさん、シュラさんとアイオロスさん。
逆に、にっこり笑うのがディーテさんとシオンさま、デスマスクさん。
最初に口を開いたのは、やっぱりと言うか、麗人だった。

「氷雨、私にも一口欲しい」
「…何が食べたいんですか?」

ディーテさんの言葉に頬を引きつらせそうになりながらも聞き返す。
それ、と指差したのは卵焼きで、別に、普通に食べたことあるんじゃないかと思いながら箸で挟んだ。
差し出しながら注意しておかなくては、と口にする。

「…味付け甘いですけど、大丈夫ですか?」
「大丈夫」

彼は、ぱくり、口に含んで嬉しそうに目を細めた。
飲み込んでから、笑顔を浮かべる。
それから、悩むように顎に手を当てて、私を見た。
今日の夜もこれを作ってくれないかい?と首を傾げる彼にわかりました、と返事をする。
夕飯どうしようか、と思っていれば、隣から、肩をツンツンと指で叩かれた。
そちらを見ると、そこにはあー、と口を開けたシオンさま。
…これは、どうすればいいのだろうか。
思わず固まれば、不満そうに唇を尖らせる。

「なんだ、私にはくれぬのか?」
「……シオンさまは何が欲しいんですか?」
「氷雨が一番上手く出来たと思うものがいい」

そういって、もう一度、先ほどのように口を開けるシオンさま。
現実逃避をさせてくれ。
なんて思いながら、上手く出来たと思っている、肉じゃがのじゃがと肉をシオンさまの口に入れる。
もぐもぐ、と咀嚼してから、満足そうに頷いて、もう一度口を開けた。
…おかわりってことなのか、これは。
思わず、ひくり、と頬を引きつらせて、今度は人参としらたきを運んだ。
幸せそうな顔でもぐもぐと口を動かしているシオンさまは可愛い。が、次の催促が来ないうちにと、他に視線を移す。
気がつけば、反対隣にデスマスクさんが現れて、私の食料に手を伸ばしていた。
ああ、じゃがいもが…肉じゃがの重要な部分が持っていかれる。
長くて、綺麗な指に、女爪――と言えばいいのだろうか――が整えられていて。
丁寧に掴まれたじゃがいもはそのまま、よくよく見れば整っている顔の、よくニヒルな笑みを浮かべている口に運ばれた。
咀嚼してから、喉が動く。
それから、扇情的にじゃがいもを摘んだ人差し指と親指を舐めた。
…不健全極まりないな、コイツ。


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