正義 | ナノ



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アイオロスさんが申し訳なさそうな顔をして、私を見ている。
思わず、キョトンとしてから、誤解を解くのを諦めた。
いや、泣いてないだけで、ショックを受けてたのは事実だし。
とりあえず、アイオロスさんをどうするか、だよねぇ…。
ショックは受けたし、落ち込んだけど、別に謝ってもらうことでもないと思うし。
彼は事実しか言ってない訳だし…むしろ私が謝るべきかもしれない。
んー…、なんて言うのがいいんだろうかね。
気にしてない、なんて信じてもらえないだろうし…こちらこそ、ごめんなさい?
いやでも、喧嘩腰ではあったけど、悪いことをしたとは思わないし。

「別に、良いですよ。きっと必要なことでしたから」
「だが…、」
「いいんです。私も煽った自覚はありますし…」

眉を下げて少しだけ笑ってみせる。
これで円滑な人間関係が築ければ、それだけ仕事が楽になると思うんだよね!
なんて、打算的かな?
が、納得してないのだろう、不満そうに眉を寄せて、見てくる。
顔立ちが整っていることと、眼力が強いことが相俟ってかなり迫力がある。
思わず、目を逸らす、とやっぱり!みたいな目で見られる。
いやその、えっと、としどろもどろになってどうにかしようとするが、どうにもならない。
もう、ご飯は静かに食べさせて欲しい…。

「そんなに詰め寄るな、彼女が困っているだろう、」

静かに低い声が響く。
そちらを見ると、心配そうにしたシュラさんがいる。
…えっと、勘違いの力ってそんなに凄いものだっけ?
いやいや、そんなはずはない。
同期に女性がいなかった、っていうのがあるのかな…?
普通の女の子に接することがなかったから、どう係わっていいかわかんないってことなの?
…多分それで間違ってないだろうな。

「そんなに、気遣ってくれなくて構いませんよ。…大丈夫です」
「だが、」

言募ろうとする彼らに、首を振って、笑った。

「構いません、一般女性はそんなに柔な生き物ではありませんよ」

苦笑していえば、驚いたように目を見開く聖闘士たち。
…マジかよ。

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