正義 | ナノ



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仮眠室は大分綺麗になった。
ゴミは落ちていないし、埃もない。
それに、他の落ちているのを見るだけで気が滅入る数々の品もない。
発見する度アルデバランさんに気がつかれないように隠すのが大変だったよ。
…いや、バレてもいいんだけど、なんかほら、気まずいじゃん。
考えてもご覧よ、下ネタとか話せる程仲の良くない人と“男のエチケット”見つけたとか。
しかも、こちとら成人だっつーの、流石になんでしょうね、これ?もいえないし。
万が一、彼がその正体を知らないことなんてあったら…驚怖で体が固まる。
なんて純粋培養、ってことだけど、成人して知らないのは色んな意味で危険だ。
カノンさんに聞いてと丸投げしてもいいが、聞いた後、彼が自己嫌悪に陥る…思う。
私だったら、そう考える、私はなんてことを聞いてしまったのだろうかって。
という訳で、多分、アルデバランさんも同じ考えだったのだろう、どちらのゴミ袋にも色々あった…。

「綺麗になったな…」
「そうですね、後は水拭きして、物を置いたら完璧ですね」

笑って、雑巾を絞る。
床を拭いて行き、拭き終わったところにベッドなどを設置。
ぞうきんは真っ黒になったが、とにかく、終わった。

「これこそが仮眠室ですね…」
「そうだな…まるで別物だ」

アルデバランさんと笑う。
ピカピカで穏やかなこの部屋は、きっと、執務で疲れた心を癒してくれる。
なんて思ったりもする。
いや実際は別に癒されるとか思わないけどね。
だって、ただの仮眠室だもの。
まあ、これからは此処が使えるようになって、随分楽になるんじゃないかと思うけど、特に休憩とか。
皆が働いてるところで休憩って案外しにくいもの…って思うのは私だけなのだろうか。
人種の違いって結構出るよね、こういうところに。
いや、差別とかじゃなく、育って来た環境っていうの?
まあとにかく、私が気兼ねなく休める場所が作れただけで私は満足だ。

「冷蔵庫、欲しいかも」

仮眠室を見渡して、思った。

「あ…でも、私に支給された冷蔵庫使えばいい?いやでも、いちいち外出るなら、部屋帰るか」
「どうしたんだ?」
「アルデバランさん、ここに冷蔵庫あったら便利だと思いませんか?」
「…サガが執務室に住みこみそうだな」

その言葉に思わず目を逸らす。
確かに、と思いながら、それ以前に私も住み着きそうだ、と思った。
それ程に居心地の良さそうな仮眠室になったと思えば、それでいいのかもしれない。

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