正義 | ナノ



054
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…えーっと、どういうことなんだろうか。
周りの面々もぽかんとしている。
仕事しなくていいのかな?
なんて現実逃避しながらも、ディーテさんに笑って頷く。

「構いませんよ」
「おい、待て、まだ彼女が理由だと決まった訳じゃない」

シュラさんが声を発したが、ディーテさんは首を左右に振った。
すいません、話が読めないんですけど…と黄金聖闘士の皆さんを見回す。
ほとんど全員が訳がわからないと言う顔をしている。
デスマスクさんと目が合い、彼がああ、と納得したように口を開いた。

「俺たち3人とも不眠症でな、特にシュラが一番酷いんだよ」
「ああ、にも拘らず、朝、料理の匂いを感じるまで、起きられなかった」
「私の部屋、シャワーの音とか結構響くんですけど…それでもですか?」

首を傾げたら、サガさんとカノンさん、その他黄金聖闘士の皆さんにクワッと目を見開かれた。
…やべ、さっき言ってなかったんだ。
不自然に目を逸らしながら、シュラさんが寝られたなら良かったです、と笑う。
ふと、思いついた。

「サガさん、今日掃除しててもいいですか?」
「掃除?」
「ええ、仮眠室の。ベッドもソファーもありますから」

なるほどな、と頷くサガさん。
ちら、とカノンさんを見る。
カノンさんはああ、と頷いて、遠巻きにこちらを見ている聖闘士に視線を向けた。

「アルデバラン、氷雨を手伝ってやれ」
「ああ、わかった」

体の大きな彼が頷いてから、に、と笑う。
純朴そうなその笑顔につられて目許が緩んだ。
ほんわかとした空気に包まれた瞬間、ぽん、と肩を叩かれる。
振り返ると、にっこり、笑う双子。

「シャワーとは、どういうことか教えてくれるな?」
「う…はい」


やっと双子から解放された。
これからは簡単に部屋に男を入れないこと。
また、入って来たらすぐに追い出すこと。
男が部屋にいる状態でシャワーを浴びないこと。
招いた覚えがない男をもてなさないこと。
と、誓わされた。
約束ならまだしも、何故誓う必要があったんだろう?
なんて思いながら、仮眠室の掃除を始める。
アルデバランさんにお願いしてソファーやベッド(しかも二つあった)、本棚、食器棚など、大きなものを全て運び出してもらう。
ついでにベッドの布団は捨てて、新しいものを用意してもらった。
というか、新しいものがその日のうちに用意できる聖域に恐怖を覚えました。
多分、さおちゃんの権力と財力の結果だと思うけど。

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