正義 | ナノ



051
しおりを挟む


苦笑して、首を傾げる。
ディーテさんはくすり、と綺麗に笑って、私の頭に触れた。
なでなでとゆったりと動く手に、気恥ずかしくなって目を細める。
ふふふ、と楽しそうな声が聞こえてきて、顔が熱くなった。
一度深呼吸して、自分を落ち着かせてから、もう一度問う。

「その、さっき言った以外に何かしました?私」
「大丈夫だよ、安心して」

にこり、笑うディーテさんにこく、と一度頷いて、サガさんに今日の仕事について聞く。
と、いやいや、とサガさんの隣にいるカノンさんに首を振られた。
違うだろ、と言われてキョトンと首を傾げる。
シュラさんが来てくれたのはきっと心配してのことだろう。
じゃなければ、私は既に死んでいるか、犯されでもしているはず。
それもないってことは、シュラさんがそういうつもりではなかったということで。
普通に良い人だと思いますけど、と思いながら、カノンさんを見る。
堂々と顔を見てため息を吐かれた。

「お前なぁ…」
「いや、だって、特に何かあった訳でもないですし…」
「はぁ…それで、シュラはどうしたんだ?」
「別に、どうもしてないですけど…」

首を傾げて、二人を見つめた。
目の前の二人は顔を見合わせて、はぁ、と一度ため息を吐く。
ちょっと来い、と、手招きされ、椅子に座らせられた。
いつの間に用意したのか、私にはわからなかった。
更に何処からか、正面に持ってこられた椅子2脚に双子が座る。
…え?3者面談?
ちょ、え?可笑しくない?何でこの状況??
高校の進路相談とか、あとは、成人式の衣装と写真をどうするか話し合った時ぐらいで、懐かしい。
あ、でもアレは私の側が二人だったか。
…などと感傷に浸る暇はなさそうだ。
それで?とカノンさんが目の奥が笑っていない笑顔を浮かべた。

「お前は、何処で寝てたんだ?」
「ベッドです」
「シュラは何処にいたのか聞いても?」
「ソファーにいらっしゃいました」

ずい、とディーテさんが割り込んで来た。
きれいな顔がいきなり近くに現れたことに吃驚して頬が熱くなる。
後ずさり、なんですか?と声をかけた。

[前へ]/[次へ]

[ back to menu ][ back to main ]
[ 番外編に戻る ][ 携帯用一覧へ ]


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -