正義 | ナノ



046
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執務室に帰って来て、二人にありがとうございました、と笑ってから、イスに座る。
パソコンを取り出して、カタカタと打ち込んだ。
なんだか、今までよりも気負わずにできるのは、気持ちが大分軽くなったからだろう。
二人には感謝しても仕切れない。
…ああ、彼らにも後で感謝を述べておこう。
私をいつも支えてくれてありがとう、と。

「っし、」

辰巳さんからの仕事は完了。
一応パソコンを閉じて、次に3分の2残っているサガさんから任された仕事を進める。
慣れたのか、かなりの早さで進んだ。
とは言っても2時間以上はかかったけれど。
時計を見て、まだ時間があることを確認。
パソ子さんに入っている自分の仕事をやり始める。
自分の仕事の方はまだ期限に余裕があるが、余裕があるものが山のようにあるので、少しでも減らしておきたい。
キーボードを押し込む感覚に楽しくなりながら、仕事に熱中する。
私の世界は画面とキーボード、それから仕事内容だけになった。

「…ぃ、聞いてるのか?氷雨?」
「っ、」

横からの突然の衝撃。
と、言われても、肩を叩かれただけなのだが…気がついていなかった私からすれば、思わず心臓を抑えるほどの驚きだ。
思わず詰めた息をゆっくりと吐き出して、数回瞬いた。

「なん、ですか…?」
「…驚き過ぎではないか?」
「集中すると、それ以外見えなくなる性質なもので、」

こめかみに右手の人差し指と中指を添える。
数回深呼吸して、あまりの驚きで震えた手をグーパーしてほぐした。
それから、声をかけて来たサガさんを見つめる。
…あれ?サガさんだよね?まあいいや、サガさんで。
思わず、ふわ、と欠伸がでる。

「大丈夫か?」
「ええ、ただ、集中が切れたら、眠気が…きて…」

かくん、と自分の頭が落ちたことによって、目が覚める。
そういや、昨日寝てないんだよねぇ…。
あれ?でも一日寝なかったくらいじゃこんなに眠くないはずなんだけど…?
やっぱ時差ボケが残ってるのかなぁ?
時計を見る、と時間的には仕事を終えても問題ない。
眼鏡を外して、目を擦る。

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