正義 | ナノ



028
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ディーテさんと少しお話ししてから、彼が他の人(シュラさんとデスマスクさん)に向かっていったので、仕事を再開する。
ぼんやりと、字面を流し読みしながら、自分は何故ここに来たのだろうと考えた。
ま、そんなのは沙織様に聞かなくてはわからないことなのだからと思うのも事実だ。
それでも、気になるのだ。
ここに私を連れてきたと言うことは、私はもう、外と触れることは無くなるのだろうか?

今までもそんなに外に出ていなかったが、それでも、家族と会えなくなるのは辛いな…。
聖闘士たちは幼い頃に両親と引き離されていると聞く。
彼らの前で、もう両親に会えないのですか、なんて質問できる程能天気でいられない。
彼らは気にしていないのかもしれないが、私が気にしてしまう。
はぁ、と小さくため息をついてから、次の書類を手に取った。
正確には取ろうとしたが、止められた。

「…えっと、アイオロスさん?なんでしょうか?」

彼はアイオリアさんとよく似ているが、外見の年齢が違うのでわかりやすい。
しかし、アイオロスさんは射抜くような視線で私を見つめた。
そして、私がさっき考えていたようなことを口にした。

「君は、なんでここに来たんだ?」
「私には、わかりかねます。沙織様のお心は沙織様に聞かねばわかりません」
「俺は君を信用できない」

うは、結構きついねー。
何処の馬の骨とも知らない奴がってことだろうが…。
影でいじめられたり、聞こえるように悪口言われるよりはいいけどさぁ。
心に留めておいてくれたり、仲間内で悪口言うのよりは悪いよね。
きっと、まっすぐで、そう言うのが出来ない人なんだろうけどさぁ…。
もしかしたら、めちゃくちゃ計算高いのかもしれない?
あーもう!休憩が終わりに近いのか、みんなかえってきてるし。

「別に、いいですよ。私がアイオロスさんに信用されなかろうと、沙織様に任された仕事であることは変わらないのですから」
「君に意見はないのか?」
「意見がないわけないじゃないですか、どこぞの正義の味方じゃないんだから。納得しているだけですよ」

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