正義 | ナノ



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昨日は色々と疲れたので甘いものを食べさせてもらって、生き返った。
で、今教皇室の前にいるのだが、ノックしても返事がない。
あれ?仕事前に来いって言ってたよね?

「二面性がわかったのは、サガを表に出すと決めた後だ」
「っ?!…び、びっくりした」

いつの間にか真後ろにいたシオンさま。
その言われた内容に首を傾げて…ああ、これを伝えるつもりだったのか、と納得する。
ふと、疑問に思ったこともあり、問いかける。

「…それは、カノンさんが隠れるようになったのと同じ時期、ですか?」
「ああ、最初は私がサガの元から引き離したからな」

どこか後悔するような目をして。
シオンさまは全て知っていたのだろう、と理解した。
いや、知っていたのではなく、気がついたのかもしれないが。

「では、サガが“邪悪”を抱えていると“気がついた”のは?」
「…」
「サガ…いえ、“彼”があなたに手をかけたとき、ちがいますか?」
「二人の話をしよう、来い」

シオンさまは教皇室の扉を開いて私を招き入れた。
わかりました、と足を踏み出して、静かに部屋に入る。
ぱっと見は年下の、その全てを飲み込んだような瞳は恐ろしいものさえ感じる。
そして語られるのは、双子座のあの二人の話。
ギリシア出身で、幼くして親元から引き離され、それぞれも離れさせられて。
シオンさまが後悔している部分も含まれているのだろう。

「もう一つ聞いていいですか?」
「なんだ?」
「サガさんが“悪の面”を隠していると感じるようになったのは、いつ頃ですか?」
「っ、それ、は…」
「アイオロスさんが、小宇宙に頼るようになった時期だと思っているのですが」

私の予想を口にすればシオンさまは静かに頷く。
答えが、見えた。
口元に柔らかく笑みを浮かべる。

「大丈夫です、なんとか、できそうですから」
「…すまない」
「ふふ、いいんですよ。こういうことは私みたいなのじゃないとやり難いでしょうから」

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※今回のお話はかなり好みの分かれる捏造が入りますので、次のページ以降ご注意ください
 もし、あわないと思った場合、読むのをやめることを推奨いたします
 この段階で嫌な予感がした方も、この小説のことは忘れてくださって問題ありません。
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