正義 | ナノ



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…うわぁ、私パジャマなんですけど。
大丈夫かとか、貴様!とか、サガどうしてとか、言葉が多くて眉をしかめる。
彼は赤い目を細めて、不機嫌そうな顔をする。
面倒だな、と思いながら、彼らに視線だけ向けて黙ってもらう。

「ほら、そんな顔してもダメだよ。君は君であり、“サガ”なんだから。仕事の仕方はわかるんだろう?」

無言。
駄々っ子か。
苦笑しながら、その頬をゆっくり撫でる。
額に唇を押し当てて、慈しむようにその顔を見つめる。

「起きてください、サガさん。サガさんが必要なんですから」

私が笑いかければ、表情はましになったものの、まだ動きは見せない。
仕方ない、と肩を落として、告げる。

「責務を果たさない人間は、嫌いだ。いいのかい?」
「…裏切るのか?」

やっと喋った。
恨めしそうな目だが、そこに殺意がちらつく前に、言葉をかける。

「おや、裏切るのは君だろう?私の期待に応えておくれ。上手にできたら、褒めてあげよう」

無言のまま、彼は視線を黄金聖闘士に向けた。
それから、ニヤリと笑って、告げる。

「貴様らがそこにいては、俺は出られないんだが、外に出ていてくれないか?」
「なっ」
「氷雨の服装ぐらい、想像できるだろう?…それとも、見たいのか?」

くつり、笑うその顔に肩をすくめて。

「別に見られても気にしません。怒られるかもしれないけど、その辺はサガさんのせいですからね」

手が離れているので、よいしょ、と起き上がる。
パジャマには一切の乱れはない。
そのままベッドから降りて、欠伸を一つ。
つまらなそうな顔をした彼がベッドから出て、私を振り返る。

「俺がやればいいんだな?」
「自分でやったのだと言えるのであれば、それで構いませんよ。私にとってはどちらもサガさんですし」
「食えない女だ」
「食べたらお腹壊すかもしれませんから…食べなくて良かったですねぇ」

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