正義 | ナノ



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「“とても寂しがりなのに、無理して強がる人”らしいのぅ」

突然の言葉にぽかんと口を開いた。
寂しがりで?強がり?私が?

「紫龍君が?うーん、紫龍君は心配性ですからねぇ…」

苦笑しながら答えれば童虎さまはぱちりと瞬いた。
不思議そうな顔をした彼はそうかのぅ、と首を傾げる。
絵になっているというか、かわいいというか。

「紫龍君たちには大分甘えてしまっていますから、それがそう見えたのかもしれません」
「そういうことにしておこうかの」

苦笑と柔らかな表情が混じりあって、彼は頷いた。
そこで終わらせてくれた彼に感謝しつつ、そうして下さい、と笑みを返しておく。
しかし…なんというか、見ていれば見ているだけ安心するこの感じは何だろうか。
やはり、東洋人だからだろう。
黒髪黒目に近い色合いのシュラや綺麗で外見だけで言えば女性的なディーテ、察しが良くてヘタに踏み込んでこないデス。
彼らも確かに一息つくことが出来る相手ではあるが、彼らは聖域の人間なのだ。
ふと、彼が、紫龍君からの伝言があると笑う。
え?と首を傾げて聞いてみると、彼は明日話そうと、何故かもったいぶったように言う。

「わかりました、幸い明日は仕事も少ないですし、」
「ならば、私も参加させてもらおう」
「なんじゃ、シオン。お主も来るつもりか?」
「氷雨の体力を考えれば私の私室を使った方がいいに決まっておろう」

ふん、胸を張るように告げるシオンさまはいったいどこから現れたのか。
そして私の体力のなさは何処まで知れ渡っているんだ。
そうじゃな、と笑った童虎さまはそれでいいかの?と私に問いかけた。

「時間は、どうなされますか?」
「確か、料理が上手いと紫龍が言っておったが…」
「…お口に合うかわかりませんが、それでもよろしければ」
「ならば、肉じゃがと言ったか…?アレをまた作ってはくれぬか?」

なんで童虎さまに答えたはずなのにシオンさまがリクエストをしてくるのだろうか。
別に構わないのだけれど…答え聞く前にリクエストされたら作ること決定じゃね?
いや、童虎さまがああいった時点で決定か。
お昼に、ということでいいのだろう。

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