正義 | ナノ



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色が戻った視界に、眉を下げる。

「何度もすみません…」
「理由はわかってるのかい?」
「ええ」

頷くだけに留めるが、視線はこちらに来た。
言いにくい…、月に一回のペリーさんの来航だなんて…言いにくい!

「一応、これでも性別は女なので…」
「…痛みは?」

まさかのシュラである。
とりあえずコクリと頷くが、身動き一つとらないサガさんが恐ろしい。
大人の玩具で固まってた人なので、心配なのだが…。

「痛み止め飲んでるので、大丈夫です」

にこり、と笑ったらサガさんの身体の力が抜けたようだ。
…一安心である。
色々申し訳ないが、この状態、確かに楽だ。

「あ、それでですね、この二人なんですが、」
「…仕事はするのか」
「だから、シュラたちは心配性過ぎですって、私は仕事を求められて此処に居るんですから」

なんでこうも心配性になっているのかと…誰か教えてくれないだろうか。
思いながら、気がついた、これ資料が机の上にあるはず。
あ、と気がついて立ち上がろうと足を下ろしつつ、腹筋に力を入れた。

「まだ動いちゃだめだよ?」

ぐ、と鎖骨の辺りを抑えられて、動きを止めさせられた。
顔が近い。
…アイオロスさんもイケメンだなぁ、と現実逃避の混じった感想を抱いた。

「すまない、氷雨。サガは此処に…何してる?」
「ああ、カノン、今動けない状態なんだ、こちらに来てくれるか」

カノンさんが部屋を覗き込んで不審そうな声を上げた。
寝転がっている私にはその姿を伺うことは出来ないのだが、足音が近づいてくるのは聞こえる。

「…ああ、氷雨がいたのか」

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