正義 | ナノ



128
しおりを挟む


「氷雨、後で時間はあるか?」

頷いてみせると、彼は少しだけ口角を上げた。
にっこりと笑みを返してから、踵を返す。
仕事を再開させ、集中して出来る限りの仕事を終わらせる。
書類を纏めていると、目の前にサガさんが近寄ってきた。

「いいか?」
「ええ」

頷くと彼は仮眠室を示す。
掃除してから、まだそんなに時間が経っていないのだが、活用され過ぎでは無いだろうか…。
今までどうしてたんだろう?
なんて、見当違いな考えを胸に抱きながら、サガさんについて行く。
仮眠室に入って、綺麗になったテーブルについた。

「ミロはどうだ?」
「リアと殆ど変わりませんね。二人とも元々能力は高いですから」
「そうか、」

少し難しい顔で頷いたサガさんは、手に持っていた書類を机に並べる。
その書類は基本的に黄金聖闘士に関係するもので…沙織様からの仕事の依頼でもあった。
一通り眺めてから、私は口元に手を当てる。
今までの仕事量を考えて、応用が何処まで出来るか予想する。

「多分、このくらいなら、問題ないと思います」
「そうか。それから、この分担だが…君ならどうわける?」

差し出された羅列された仕事内容のリストと、黄金・白銀の聖闘士の名前のリスト。
能力や今までの仕事ぶりが書かれているのをみて、思わず、額を抑えた。

「ええと、これ、少しお預かりしても問題ありませんか?」
「ああ、問題ない。…どれくらいで出来るだろうか」
「そう…ですね、大体…一週間あれば纏められると思いますが…」

答えて、ちらりとサガさんを見ると、申し訳無さそうに眉を下げている。
目が合うと、彼は眉を下げたまま笑った。

「まだこちらに慣れていないだろうに…すまない」
「…いえ、頼っていただけて光栄です」

にこりと笑顔を返すと、驚いたようにしたサガさんは、ありがとう、と安心したような顔をする。
そして、白銀の仕事ぶりを確認出来る書類は他にはないのかと問うと、彼は少し考え込んだ。
次の瞬間、謝罪と共に抱き上げられて、私にとっての全力疾走くらいの早さで移動を始めた。
彼らにとっては全く遠くないが、私にとっては中々に遠いその場所に、かなりの広さの資料室が存在した。
執務室の隣にある小さな資料室は特に重要な物が置いてあるだけらしい。
何百年というレベルではない膨大な資料。

「最近の物は、この辺りにあるはずだ」

と、サガさんが指差した先には、今にも雪崩を起こしそうな書類の山があり、思わず額を抑えた。

[前へ]/[次へ]

[ back to menu ][ back to main ]
[ 番外編に戻る ][ 携帯用一覧へ ]


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -