正義 | ナノ



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さて、そして今日、私は仕事を早めに休憩し、現在料理をしている。
デスたちの分を抜くと考えれば量は減るものの、一人分と考えるとやはり多い。
朝に出来る所まで下準備をしておいた食材を炒めたり茹でたり切ったり混ぜたりしながら料理を作る。
ちなみに昨日の夜に煮物は作っておいた。
圧力鍋がある訳ではないので、作ってすぐに味を染み込ませる技術が足りないのだ。
…というか、執務室に運べばいいんだろうか?
ってか、これは本当にするべきことなのだろうか?

「…なんて、作ってから考えることじゃないよね」

完全に作り上げられた、料理を前に一人呟く。
メイドさんにお願いして、カートを借りた。
聖域は大きな共同体だ。
そして、私が思っていたよりも出入りが激しい。
とはいえ、外に出るためには例外があるものの記憶の消去が必要だし、中に入るにも何かを認められなくてはならない。
だがしかし、だ。
私は外からではあるが、女神の推薦という強力すぎる程の後ろ盾がある。
元々青銅聖闘士…星矢君たちと知り合いだったことも大きいらしいのだが、私は自分の想像以上に受け入れられている。
メイドさんたちに嫌われるのではないかと思ったりもしたのだが、そんなことも無く。
普通に挨拶もするし、してもらえる。
…それ程関わっていない、なんて言う事実もあるのだが、仕事に慣れて、一段落ついたらもっとお話しとかしたい。
なんて黙々と考え込みながら料理を乗せたカートを押していれば、すぐに執務室につく。
元々さほど離れている訳でもない。
小さく扉を開けて中を覗き込む。

「シャカさん?」
「待ちかねた、さあ、早く」
「…机を綺麗にするか、仮眠室に移動していただけますか?」

ごっちゃごちゃである。
信じられない程のぐちゃぐちゃ加減である。
仮令、ぐちゃぐちゃであっても本人は何が何処にあるのか理解していればまだいい。
シャカさんは把握していないから問題なのだ。
む、とした表情を浮かべた彼は無言で立ち上がり、仮眠室に移動した。
唐突に気がついたのだが、これ後片付けとかくっそ面倒じゃね?
とりあえず、仮眠室に食事を持っていって、机に並べた。

「では、私は仕事に戻りますので、何かあったら」
「君は食べないのかね?」

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