正義 | ナノ



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伺うような上目遣いで、じっと私を見つめてきた。
まあ、体調不良になると治っても暫く人恋しかったりするときあるし。
熱出したことに気がつかないくらい、なれてなかったら仕方ないか。

「いいですよ?ミロさんが寝るまでですからね?」

大きな弟か子供が出来たみたいだと、小さく笑ってから、彼のベッドに腰掛ける。
そっと手を頬に当てると、冷たっ、と驚かれた。
お水使ったりしてますからね、とそのまま頬を抓る。

「ミロさんがいっぱいおかわりするからですよー?」

元気になったことはいいことなので、許してあげますが。
肩をすくめてそういえば、照れたように笑う彼。
抓っていた指を離して、もう一度ぺたりと頬に手を当てる。
その手をぎゅうと握られるが、すぐにその力が抜けた。
すうすうと穏やかな寝息を立てている。
おやすみ3秒…なんて思いながら、立ち上がり、カミュさんの方に視線を向けた。
ら、ばっちり目が合う。
体を起こして、ベッドに座っていて、首だけで此方を見ていた。

「…えっと、なんでしょうか?」

近寄るにも眼力が強くて、近寄れない。
真っ直ぐに見つめてくる瞳がこれほど恐怖だとは思わなかった。

「氷雨、」
「…カミュさん?」
「カミュでいいと言ったはずだが」

困ったように眉を寄せた彼に肩の力を抜いて、笑いかける。
寝ぼけてるか、熱に浮かされていたかと思ったのに、実際は意識がハッキリしてたんですね。

「わかりました、いまからカミュと呼ばせて頂きますね」
「ああ、それでいい」

こくり、頷いたカミュは掛け布団を掛けて、目を伏せた。
リビングに行ったら何か食べよう、と思いながら、声をかける。

「おやすみなさい」
「…ああ、おやすみ」

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