鬼神 | ナノ



こうせいざん 1/2


「必ず、夏侯覇殿をお守りするようにな」
「姉様?」
「お前は護衛なのだから、そのことだけは努努忘れるなよ」

妹と夏侯覇殿との会話をそこで区切って、戦場に出る準備をする。
開戦直後、無策で山へ突撃する曹爽殿の命令により、その後を追う。
司馬家の方々に注意を払いつつ、子元様の露払いをしながら進む。
だが、突然、曹爽殿の声が響き、救援を要請する内容が耳に入った。
子元様がそちらに向かうのを確認しながら、その背中を守る。
その後本陣が蜀の奇襲部隊により壊滅し、また、退路の橋を落とされた。
それからは撤退戦となったのだが、それすらも酷い内容で。
司馬家の皆様を守りながら、曹爽殿を撤退させる。
だが。

「鈴蘭!」

響いた声に、嫌な予感が当たったか、と舌打ちをする。
投石兵からの人の頭程度の大きさの石を避けきれなかった妹と、それを庇おうとする夏侯覇殿。

「氷雨」

子元様の声を聞いてすぐに動く。
妹をかばうようにした夏侯覇殿と石の間に入り、左手を思いっきり振るう。
骨の折れる音がするが、そのまま、石の方向を無理矢理に変えた。
右手で投石兵にヒョウを投げ、撃ち落とした。
小さく眉を寄せ、すぐに右手で左腕に触れる。
肩についている青い布と幾つかのヒョウを使って折れた腕に添え木をし、固定する。
すぐに迅雷剣へと持ち直し、子元様の元へと走る。
眉を寄せた子元様に問題ありませんと告げて、その露払いに勤しむ。
星彩に月英、関索に関銀屏を打ち破り、無事撤退に成功する。
被害は…小さくない。

「あら…やはり氷雨の怪我が一番酷いわね」
「申し訳ございません」
「あなたを責めている訳じゃないわ。怪我はどれくらいで治りそう?」
「そうですね、複雑骨折ではないのと、折れる段階で力を受け流したので、すぐに治るはずです」
「無理はしないようにね?」
「はい」

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