鬼神 | ナノ



かくご 1/2


落ち着いて、弟を見送っている段階で、ふと気がついて妹を見る。

「妹は…家のことをどこまで聞いている?」
「家のことを…ですか?」
「ああ、護衛武将であれ、護衛女官であれ、我らは仕えると決めた主を守り続ける」
「はい…その誓いが、名を賜ることである、と」
「そうだ…だがな、我が一族には…立場も与えられている、つまり氏も存在している」
「え、」

驚いた顔がこちらを見る。
司馬懿様もこちらを見ていることから、彼らも知らないのだろう。
それもそうだ、と唇に笑みを浮かべる。

「それを名乗るのは、当主を継ぐ時か、自身が死を得た時のどちらか…だから、お前にも主人ができたら伝えよう」

その頭を撫でる。
まだ小さな少女だが、そろそろ相手を見つけ始めるべきだろう。
私自身、本来の適性より時期は遅い方なのだ。
まあ、それは変な試験を考え出した彼らのせいでもあるのだが、仕方ない。

「私は弟より当主を継いだ。もし、私の身に何かあれば、お前が当主を継ぐことになるだろう」
「姉様っ、」
「それを、努努忘れるな。我らは…我らの代は未だ、この掟がなくては乗り越えられぬ乱世だから」

笑って告げる。
妹は息を飲んで、私を見つめた。
その頭をゆっくりと撫でて、司馬懿様をちらりと見る。
こくり、と頷いた彼は小さく口を開いた。

「夏侯淵将軍の息子、夏侯覇将軍の護衛となれるよう取り計らっておいた」
「…ありがとうございます。日は」
「一月後だ」
「御意に…妹、良かったな」

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