正義・番外編 | ナノ



勘違いのその先に
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勘違いのその先に

今日は沙織様が久しぶりにギリシャへ来る。
私は、一日おやすみを貰えたので、彼女と久しぶりにお茶が出来るのだ。
楽しみに思いながら、彼女に渡すために準備したプレゼントを確認。
喜んでくれるといいな。

「氷雨、女神がお呼びだ」
「あ、はい」

サガさんの声に頬が緩む。
ありがとうございます、と告げてから、プレゼントを持って彼女が待っている部屋に向かった。


「お姉様!」
「さおちゃん、久しぶりね」
「はい!お姉様もお元気そうで、」

綺麗に笑ったさおちゃんに私も嬉しくなる。
艶やかな紫色の髪は結い上げられ、生花が一輪飾られていた。
その花を気にしながら、動作1つ1つに注意する彼女の目は私の手元をじっと見ている。

「ふふ、プレゼント」
「…私に、ですか?」
「もちろん、喜んでもらえると嬉しいんだけど」

渡したそれに彼女は申し訳なさそうな、でも嬉しそうな表情を浮かべる。
両手で落とさないようにそれを抱きしめたさおちゃんは嬉しそうな顔で、ありがとうございます、と告げた。
それから、伺うような目で私を見てくるので、どうぞ開けて?と促す。
開かれたその中に入っているのは万年筆。
まぁ、と驚いた表情をする彼女は首を傾げた。

「でも何故?」
「サガが教えてくれたんですよ」
「まあ、そうだったんですか?」

サガに感謝しなくては、と綺麗な笑顔を浮かべるさおちゃん。
年頃の女の子らしい、その様子に思わず頭を撫でる。
くすぐったいのか、ふふ、と笑う彼女は思いついたように声を上げる。

「お姉様は贈り物がお好きなのですか?」
「んー、…喜んでくれる顔が、好きなんだ」
「なるほど、それが、お姉様の性なのですね」

にこり、微笑む彼女は女神だった。
その言葉にそうですね、と頷いて、彼女の髪についた花について聞く。
今日、こちらに来る前に寄った星の子学園で、女の子がくれたらしい。
お姉ちゃんにプレゼント、と。
嬉しいものですね、と目を細める彼女の頭に手を伸ばす。
が、さっきも撫でたばかりだったと思い立ち、立ち上がって彼女の背後に回った。
さおちゃんの髪を結い直して、花が落ちないように飾り直す。

嬉しそうな彼女がとても印象的なお茶会だった。

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