お茶会
お茶会
今日、氷雨がいるのは、執務室ではなく、教皇宮の一角。
シオンが自室として使っているそこで、苦笑しながらお茶を淹れていた。
カップの数は3つ。
氷雨、シオン、そして、童虎の分である。
シオンから真顔で、聞きたいことがある、と言われた氷雨は、深刻なものなのかと、不安に思いながらも表情は笑顔を保っていた。
「さて、座ってくれるか」
シオンの声に頷き、紅茶を置いてから、真剣に話を聞こうと、彼の正面に座る。
ちなみに、童虎は何時ものように柔和な笑みを浮かべながら、シオンの隣に座っていた。
「何か、ご心配ごとでもございましたか?」
氷雨はゆっくりした口調で、ゆたり、と首を傾げる。
眼鏡にかかっていた髪がはら、と重力に沿って落ちた。
「実は…」
「氷雨は紫龍のことをどう思ってるのか、気になってしまっての」
童虎がシオンの声を遮り、告げる。
氷雨は、理解ができなかったのか、素直に、は?と口にした。
どうといわれましても、と今度は困惑に首を傾げる氷雨。
「童虎!何故ワシが言おうとしていたことを…!」
「変に勿体ぶるおぬしが悪い」
「何を、童虎、今日という今日は許さんぞ!」
突然喧嘩腰になった二人に何度か瞬いて、む、と眉を寄せる。
「お話が無いのでしたら、私は仕事に戻っても?」
にこり、笑って告げられた言葉に二人は慌てたように、氷雨を止める。
すまなかったと謝罪する様子は、少しばかり滑稽である。
が、二人の外見が若々しい青年であるからか氷雨にはなんとも言えない苦い感情を与えた。
「…お話というのは?」
「つまり、じゃ、おぬしは聖闘士たちのことをどう思っとるのか、気になってしまってのぅ」
「うむ。デスマスクたちと、うまくいってるのはわかっているが…他はどうだ?」
その言葉に氷雨は眉を寄せる。
が、すぐに取り繕ったように微笑んだ。