正義・番外編 | ナノ



幼い笑顔
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幼い笑顔

「…デートしましょう!」
「沙織様、今回は何を思いついたんですか?」

唐突に叫んだ女神に、冷静に対処する氷雨。
にこり、と微笑んだ氷雨は、そのまま女神の言葉を待つ。
女神は楽しそうな笑顔を浮かべて、あのですね、と始めた。

「グラード財団で、今度、カップル向けの事業を始めようと思いまして。」
「なるほど、それで、サンプルを集めるためにご自分でデートしてみよう、と?」
「流石です、氷雨さん。その通りです」
「…では、相手は誰に頼みますか?星矢君たちならすぐに連絡が取れると思いますが」

上司と部下、という関係を崩すことなく二人は会話を続ける。
うーん、と顎の当たりに手を置いた女神を後目に、氷雨は、自分の仕事を処理し始めた。
数分後、そうですわ、と今日手を合わせた女神はお姉様、とオフの呼び方で氷雨を呼んだ。

「お姉様もデートしてください。ダブルデートというヤツですわ」
「構いませんが、相手はどうするおつもりですか」
「お姉様は黄金の中からでも選んでおいてください」

投げやりな感じで、肩をすくめた女神に、執務室にいる私を含む黄金が視線を交わした。
が、次の瞬間、氷雨が衝撃の発言をする。

「なら、一輝君にでもお願いします」
「あら、一輝に?」
「紫龍君でも、氷河君でも、瞬君でもいいんですけどね」

にこり、笑った彼女は、そうすれば、沙織様は勿論、星矢君を誘うんでしょう?と首を傾げた。
元々ぱっちりとした目の女神が、更に大きく目を見開く。
それから、何かを言おうとして、無言になって、視線を逸らした。

「なら、わたくしは、お姉様とデートしますわ」
「…勿論、喜んでお相手させて頂きますよ」

にこり、綺麗に笑った氷雨は、とんとん、と書類を整えて、女神に差し出す。
確認しておいてくださいね、と笑い、仮眠室に消えた。
女神が静かに私を見る。

「サガ、」
「は」
「黄金から二人、護衛を選んでおいてください」

明後日、希望者がいればそれで構いません。
と、続けて、女神は仕事に戻った。

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